管理組合法人について 3
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<ポイント>
◆代表理事や数人の理事による共同代表を定めたときは登記しておくこと
◆理事の任期は3年以内の範囲で定めることができる
◆理事が欠けたときにどうすべきか把握しておくこと

「管理組合法人について2」において、理事を数人置いたときは各自が法人を代表するが代表権について制限が可能であることなどをお話ししました。拙稿「管理組合法人について2」をご参照ください。

引き続き、管理組合法人についてお話します。
理事の代理権に加えた制限は、そのことを知らない第三者には主張できません。
たとえば、規約、集会の決議等によって代表理事を定めたり、規約や集会の決議によって数人の理事による共同代表を定めたりしたが、代表理事や共同代表の登記をしていない場合には、これらの定めを知らない第三者には主張できません。
代表権のない理事が、または共同代表の定めがあるのに理事の一人が単独で、管理組合法人を代表して契約を結ぶなどしたときには、代表理事や共同代表の登記をしておかなければ、その行為が無効であることを第三者に主張できない場合があるということです。

次に、理事の任期についてですが、区分所有法上、2年とされていますが、規約で3年以内において別段の期間を定めたときはその期間によるとされています。

理事が欠けた場合または規約で定めた理事の員数が欠けた場合には、任期の満了または辞任により退任した理事は、新たに選任された理事が就任するまで、なおその職務を行うとされています。
ただし、解任された理事は、新たに理事が選任されるまでもなく当然に職務を行えなくなります。規約上の欠格事由に該当することが理由で退任した理事も、もはや職務を行えません。規約上の欠格事由とは、たとえば、規約上理事になるためには区分所有者でなければならないとされていた場合において理事が区分所有権を失ったこと(専有部分を売却したことなど)が挙げられます。

また、理事は、規約又は集会の決議によって禁止されていない限り、特定の行為の代理を他人に委任できます。委任できるのはあくまでも特定の行為のみであり、包括的に委任することはできません。

最後に、仮理事についてお話します。理事が欠けたときに、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人または検察官の請求により、仮理事を選任しなければならないとされています。
任期満了や辞任によって退任した理事は、前述したとおり後任理事が就任するまでなおその職務を行うとされていますが、解任された理事や、任期満了等により退任したが重い病気になった理事は職務を行えません。
そこで、退任した理事が職務を継続できず理事に欠員が生じたが、直ちに集会を開催して後任理事を選任できないようなときは、裁判所に仮理事の選任請求をする必要があります。
参考になれば幸いです。