平成29年分確定申告のポイント
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本年も(個人)所得税の確定申告の時期となりました。
今回は、確定申告の対象者を確認するとともに、主な変更点を整理します。
申告期限は3月15日ですので、早めに準備しておきましょう。

1.確定申告の対象者
(1) 確定申告が必要な方
① 給与所得者
通常給与所得者の場合、年末調整により所得税額が確定するため確定申告をする必要はありませんが、次のような場合には確定申告が必要となります。
・給与の年間収入金額が2,000万円を超える場合
・給与所得、退職所得以外の所得が20万円を超える場合
・2箇所以上から給与を受けていて、年末調整を受けなかった給与とその他の所得の金額が20万円を超える場合
② 給与所得者以外
・事業所得、不動産所得などで納税額がある場合
・同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている場合

(2) 申告義務はないが、確定申告すれば税金の還付が受けられる方
① 事業所得や不動産所得で赤字が出た場合
② 年中に10万円(又は合計所得金額の5%)を超える医療費を支払った場合(医療費控除)セルフメディケーション税制の項も参照
③ 年中に災害や盗難にあって住宅や家財に被害を受けた場合(雑損控除)
④ 国や地方公共団体、特定の団体等に寄付をした場合(寄付金控除)
⑤ 住宅ローン控除を初年度に受ける場合
⑥ 年の途中で退職し、年末調整を受けずに所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額が納め過ぎとなっている場合
⑦ 株式等の譲渡損失があった場合
①や⑦に該当する場合には、当年に還付を受けられなくとも、損失を翌年に繰り越すことで、翌年以降の節税に効果をもたらす場合があります

2.平成29年分における主な変更点
(1) セルフメディケーション税制
その年中に健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行う居住者が、平成29年1月1日以後に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除は、その者の選択により、セルフメディケーション税制による医療費控除の特例を受けることができるとされました。年中において12,000円以上の対象医薬品を購入した場合には、その超過額(最大88,000円)が所得控除となるものです。なお、適用のためには、「セルフメディケーション税制の明細書」と「一定の取組を行ったことを明らかにする書類」を確定申告書に添付する必要があります。この取組を行ったことを明らかにする書類とは、例えば以下のようなものです。
・インフルエンザの予防接種又は定期予防接種の領収書又は予防接種済証
・市区町村のがん検診の領収書又は結果通知表
・職場で受けた定期健康診断の結果通知表
・特定健康診査の領収書又は結果通知表
・人間ドックやがん検診などの領収書又は結果通知表

(2) 医療費控除の提出書類の簡略化
医療費控除について、医療費の領収書の提出が不要となりました(自宅等で5年間保存する必要有り)。その代わり「医療費控除の明細書」又は医療保険者等が発行する医療費通知書を確定申告書の提出の際に添付しなければならないこととされました(セルフメディケーション税制による医療費控除の特例を適用する場合は、「セルフメディケーション税制の明細書」を添付します。)。

(3) 給与所得控除の上限額引下げ
給与所得控除の上限額が220 万円(給与収入1,000万円を超える場合の給与所得控除額)に引き下げられました。

(4) 住宅ローン控除等の一部改正
① 住宅借入金等特別控除について、その適用を受ける家屋(以下「従前家屋」といいます。)が震災、風水害、火災などの災害により居住の用に供することができなくなった場合には、災害により居住の用に供することができなくなった年に限り本税額控除を適用できることとする改正前の措置に代えて、災害により居住の用に供することができなくなった年以後の従前家屋に係る適用年(一定の場合を除きます。)について本税額控除の適用を受けることができる措置が講じられました。

② 特定増改築等住宅借入金等特別控除について、その適用対象となる工事に特定断熱改修工事等と併せて行う特定耐久性向上改修工事等を加えるとともに、税額控除率2%の対象となる住宅借入金等の範囲に、特定断熱改修工事等と併せて行う特定耐久性向上改修工事等に要した費用に相当する住宅借入金等が加えられました。

③ 住宅特定改修特別税額控除について、その適用対象となる工事に住宅耐震改修又は一般断熱改修工事等と併せて行う耐久性向上改修工事等を加えるとともに、その控除額を住宅耐震改修又は一般断熱改修工事等に係る標準的な工事費用相当額及び耐久性向上改修工事等に係る標準的な工事費用相当額の合計額(250万円(一般断熱改修工事等と併せて太陽光発電装置の設置工事を行う場合には、350万円)を限度)の10%に相当する金額とされました。