事業承継税制の適用対象会社
【関連カテゴリー】

中小企業の事業承継問題は、日本経済にも大きく影響を及ぼす問題であり、社会的関心も高まっています。
平成21年に創設された事業承継税制(非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除税制)が、平成30年大幅改正されました。
従前の制度に比べて要件が緩和されましたが、全法人に適用されるものではなく、ここでは適用対象会社について、詳しく確認します。

適用対象会社の要件
(1)中小企業者に該当すること
 次の資本金基準、従業員数基準のいずれかを満たす法人

(2)上場会社等に該当しないこと

(3)性風俗営業会社に該当しないこと

(4)資産保有型会社に該当しないこと
資産保有型会社とは、直前事業年度開始日以降のいずれかの日において、
特定資産の帳簿価額÷総資産の帳簿価額≧0.7 に該当する会社である。

(5)資産運用型会社に該当しないこと
資産運用型会社とは、直前事業年度以降の各事業年度において、
特定資産の運用収入÷総収入≧0.75 に該当する会社である。
総収入は、損益計算書上の売上高、営業外収益及び特別利益(資産の譲渡に係るものは、譲渡損益ではなく、譲渡価額)の合計額をいう。

(6)直前事業年度以降の各事業年度の総収入金額がゼロ超であること
営業外収益、特別利益を除く。

(7)常時使用する従業員が1人以上いること
健康保険・厚生年金等の被保険者、会社と2ヶ月超の雇用契約を結んでいる75歳以上の者をいう。

(8)特定特別関係会社(次頁)が上場会社等、大会社、性風俗営業会社に該当しないこと
 特定特別関係会社とは、次に掲げる者により、その総株主議決権の過半数を保有される会社をいう。
 ①認定会社
 ②代表者
 ③代表者と生計を一にする親族
 ④代表者の内縁関係にある者等
 ⑤次に掲げる会社
  (イ)①から④により総株主議決権数の過半数を保有されている会社
  (ロ)①から④及びこれと(イ)の関係がある会社により総株主議決権数の過半数を保有されている会社
  (ハ)①から④及びこれと(イ)又は(ロ)の関係がある会社により総株主議決権数の過半数を保有されている会社

(9)特別関係会社(次頁)が外国会社に該当する場合には、常時使用する従業員が5人以上いること
 特別関係会社とは、次に掲げる者により、その総株主議決権の過半数を保有される会社をいう。
 ①(8)に同じ
 ②(8)に同じ
 ③代表者の親族(6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族)
 ④(8)に同じ
 ⑤(8)に同じ

(10)後継者以外の株主に拒否権付株式(黄金株)を交付していないこと

※ ④資産保有型会社又は⑤資産運用型会社に該当しても、適用可能となる場合
次のいずれにも該当するときは、資産保有型会社及び資産運用型会社に該当しないものとみなされ、納税猶予制度の適用が可能となる。
・3年以上事業を継続して行っていること
・固定施設を所有又は賃借していること
・常時使用する従業員が5人以上であること
・自己の名義、かつ、自己の計算において営業行為(商品販売等、広告、市場調査、許認可申請、権利保有など)を行っていること