行方不明の社員に対する解雇通知
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【社員が失踪した】
社員が連絡なく突然出社しなくなる、という事態は頻繁に起こっては困りますが、絶対にないとはいえません。
企業としては、このような事態も想定しておかなければなりません。では、このような場合どうすれば良いでしょうか。
一般的に行われるのは残された家族と話し合って退職扱いにする、という方法ではないでしょうか。しかし、本人の意思を無視してこのような取り扱いをしても、法律的には効力があるとは言えません。
他方、本人がひょっこり現れた場合また勤めてもらってもいい、というのであれば、労働法的にはそのような処理でもあまり問題がないと言えます。しかし、会社としては、このような社員に戻って来てもらっては困る、代わりの社員を雇い入れたので今更帰ってこられても人が余ってしまう、という場合には、きちんと対策を講じる必要があります。

【問題点】
就業規則上、特に定めがない場合、一般原則によって対処しなければなりません。社員が出勤せず、「労働」という、雇用契約に定める社員の義務を履行していないのですから、会社としては債務不履行による解除をすることができます。
しかし、これには手続上重大な問題があります。本人がたまに自宅に帰っているというような状況であればいいのですが、そうでなければ、行方不明の社員に対し、解除の意思表示ができないということが問題なのです。
民法では、意思表示は相手に到達して初めてその効果が発生します。相手の所在がわからない場合には、簡易裁判所に申し立てて公示による意思表示をしなければならない、というかなり面倒な手続きが必要になってしまいます。

【対策】
一番お薦めしたいのは、あらかじめ「行方不明になり、無断欠勤が○日以上続いた社員は、退職の意思表示をしたものとして扱う。」と就業規則に定めておくことです。
この規定があれば、就業規則に定めのある期間が経過しさえすれば、退職の効力が発生することになります。