継続雇用の高齢者等に関する無期転換ルールの特例について
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<ポイント>
◆労働契約法により「無期転換ルール」あり
◆高齢者継続雇用の場合等は特例あり
◆雇用管理措置に関する計画を立てて労働局長に認定申請を

労働契約法の改正により、平成25年4月から「無期転換ルール」が導入されています。
このルールは、有期労働契約が5年を超えて繰り返し更新された場合に、労働者の申し込みにより労働契約が無期労働契約に転換するというものです。
 
無期転換ルールは、有期労働契約の濫用的な利用を抑制して、労働者の雇用の安定を図ることを目的に策定されたものですが、高齢者継続雇用の場合にもこのルールを硬直的に適用すると企業としては、65歳以上の高齢者をさらに継続雇用したい場合でも、無期雇用契約に転換する可能性があることにより、将来、雇用契約を終了させることが困難になりかねません。これでは、かえって高齢者の労働力を活用することが難しくなってしまう、という不都合がありました。

そこで、「有期雇用特別措置法」により、定年に達した後引き続いて雇用される有期雇用労働者について、その特性に応じた雇用管理に関する特別の措置が講じられる場合には、無期転換申し込み発生までの期間に関する特例が適用されることになっています。
今回は、この特例について解説します。
なお、この法律は有期雇用の高度専門職についても適用される場合があるのですが、今回は継続雇用の高齢者についてのみ解説します。

通常は同一の使用者との有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合に無期転換申込権が発生します。
しかし、例外として、
① 適切な雇用に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主の下で、
② 定年に達したあと、引き続いて雇用される
有期雇用労働者については、その事業主に定年後引き続いて雇用される期間は、無期転換申込権が発生しません。

なお、定年を既に迎えている労働者を雇用する事業主が認定を受けた場合も、この特例の対象となります。
また、定年後に同一の事業主に継続雇用され、その後引き続いてグループ会社に雇用される場合も特例の対象となります(なお、通算契約期間のカウントは、会社ごとになります。)。

特例の適用を受けるためには、雇用管理措置に関する計画の認定申請が必要です。
事業主は、雇用管理措置の計画を作成したうえで、都道府県労働局長の認定を受けることが必要です。
申請書の作成にあたっては、意見聴取や周知を行うなど、関係労働者の理解と協力を得るよう努めることが求められます。

管理雇用措置の内容としては、高年齢は雇用推進者の選任、職業訓練の実施、作業施設・方法の改善、健康管理・安全衛生の配慮、勤務時間制度の弾力化などがあげられています。
これらの措置を講じていることがわかる資料を添えて、上記の認定申請を行うことになっています。

高齢者の継続雇用制度については、ほとんどの企業が導入しているとは思いますが、雇用情勢が売り手市場になっている現在、定年後65歳を超えて雇用を継続する場合も増えていると思われます。
また、高齢者の技能や人脈等の特性によって、65歳を超えて雇用を継続する場合も存在します。
このようなケースでの契約の終了について大きなトラブルが起こったという話はあまり聞きませんが、高齢者継続雇用で5年を超えて更新することがある場合には、特例適用のための措置・手続きを行っておいたほうがよいでしょう。