株式の公開買付け(TOB)とは

最近、公開買付けまたはTOBという言葉が新聞によく載っています。
米系ファンドがユシロ化学工業とソトーの株式公開買付けを表明した事件は有名ですし、先ごろもCSKによるコスモ証券の株式公開買付けのニュースが報じられました。
公開買付けとは、上場している株式等を証券取引所外で購入するための方法のことをいい、英語でTake Over Bidの頭文字をとってTOBと呼ばれます。
証券取引法によれば、上場会社の株式等の売買は原則として証券取引所で行われなければならず、小規模な取引きを除いて、取引所外の取引きは公開買付けによらなければなりません。
これは、隠密裏に株式等を大規模に取得しようとする場合には不公正、不公平になる危険性があるからです。つまり、多人数から取得しようとする場合、隠密裏に一部の株主とだけ有利な条件で取引するおそれがありますし、大量に取得する場合には対象会社の経営権が変化して一般の株主に重大な影響を与えるからです。
上場会社の株式等を取引所外で大規模に取得しようとする目的は、敵対的に対象会社の経営権を握ろうとする場合か、友好的に子会社化しようとする場合が一般的だと思います。ユシロ化学工業とソトーの場合が前者の例で、コスモ証券の場合が後者の例です。
友好的な株式等の取得の場合、誰から株式を譲り受けるかは決まっており、他の株主からの譲り受けは考えていないのが通常ですから、株式の価格は市場価格より低いことが多いといえます。
なお、現在の商法では会社の自己株式の取得がある程度自由に認められるようになったことから、自己株式取得のための公開買付けも行われるようになってきました。