平成24年度税制改正Q&A
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平成24年度の税制改正は、4月1日に施行されていますが、その中で、大きく変わった(1)給与所得の特定支出控除、(2)事業用資産の買換え特例、(3)創設された国外財産調書制度について整理しました。

【給与所得の特定支出控除】
Q
特定支出控除の範囲が改正により拡大されたようですが、その内容について教えてください。

A
特定支出控除は、毎年、全国で1桁台あるいは2桁台でも十数件の適用しかないのが実態です。
給与所得控除に上限を設けることに併せ、特定支出控除を使いやすくする観点から、特定支出の範囲のうち、資格取得費の範囲が拡大されるとともに、新たに勤務必要経費が対象に追加されています。
具体的には、特定支出控除について、就労の多様化等を踏まえ、特定支出の範囲から除外されている弁護士、公認会計士、税理士など、法令の規定に基づいてその資格を有する者に限って、特定の業務を営むことができる資格の取得費を特定支出の範囲に追加しています。
また、勤務必要経費として、職務に関連する、図書費、衣服費、交際費は、特定支出の範囲に含まれることになりました。
なお、この勤務必要経費については、高額なものを購入できる高額所得者を過度に優遇するといった不公平が生じないよう、上限を設けています。

従来の特定支出
〈通勤費〉通勤のために通常必要な運賃等の額
〈転居費〉転任に伴う転居のために通常必要な運賃、宿泊費および家財の運送費等の額
〈研修費〉職務に直接必要な技術・知識を習得することを目的として受講する研修費
〈資格取得費〉職務に直接必要な資格を取得するための費用
〈帰宅旅費〉転任に伴い単身赴任をしている者の帰宅のための往復旅費(月4回程度)

追加範囲
〈資格取得費〉職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの資格取得費
〈勤務必要経費〉次に掲げる支出(その支出の額の合計額が、65万円を超える場合には、65万円を限度とします)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者により証明されたもの
(1)職務と関連のある図書の購入費
書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するもの
(2)職場で着用する衣服の衣服費
制服、事務服その他勤務場所において着用することが必要をされる衣服を購入するための支出
(3)職務に通常必要な交際費
交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出

【事業用資産の買換え特例】
Q
いわゆる「9号買換え」が改正されたようですが、その内容を教えてください。

A
平成24年1月1日以降の譲渡について、その譲渡に対する買換資産のうち、土地等の範囲を事業所等の敷地でその面積が300平方メートル以上のものに限定され、適用期限が平成26年12月31日まで延長されています。

〈事業所等の敷地とは〉
特例の対象となる土地等の範囲は、事業所等の敷地とされましたが、具体的には、事務所、工場、作業場、研究所、営業所、店舗、倉庫、住宅その他これらに類する施設(福利厚生施設に該当するものは除きます)の用に供されるもの(その施設に係る事業の遂行上必要な駐車場の用に供するものを含みます)または駐車場の用に供されるもの(建物や構築物の敷地の用に供されていないことについて、やむを得ない事情があるものに限られます)です。

【国外財産調書制度】
Q
国外財産調書制度が創設されたようですが、どのような制度なのか教えてください。

A
個人がその年12月31日において合計5,000万円超の国外財産を有する場合は、国外財産調書を翌年3月15日までに税務署長に提出することになりました。

1、国外財産調書の記載内容
国外財産調書には、財産別に、事業用か一般用かの用途別、種類別、所在別、数量別、価額の記載が義務付けられます。
種類別とは、たとえば、その財産が預貯金の場合は、当座預金、普通預金、定期預金等の種類に分けて記載することになります。
貴金属類の場合は、金、白金、ダイヤモンドなどの種類に分けます。

2、提出の有無による加算税の軽減と重課
申告漏れ等があった場合、国外財産調書の提出の有無により、以下の違いが生じることになります。
(1)提出した場合の軽減
提出した国外財産調書に記載済みの国外財産について、所得税または相続税について申告漏れまたは無申告となった場合、通常の過少申告加算税または無申告加算税が5%軽減されます。
(2)提出しない場合の重課
(1)の場合と逆に提出が無かった場合、通常の過少申告加算税または無申告加算税に5%重課されます。