平成27年1月より大きく変わる相続・贈与税
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平成25年度税制改正では、相続・贈与税について大幅な見直しが行われましたが、平成27年1月からの適用開始となるものが少なくありません。
そこで、今回は改めて今年1月から開始される項目について整理してみます。

【相続税の基礎控除の縮小】
1、趣旨
相続税については、地価が大幅に下落した今日においても、バブル期の地価上昇に対応した基礎控除や税率構造の水準が据え置かれてきた結果、課税割合が低下する等、富の再分配機能が大きく低下してきました。
こうした状況を受けて課税ベースの拡大と税率構造の見直しが行われました。

2、改正の内容
相続税の基礎控除について、定額控除額が3千万円に、法定相続人比例控除額が600万円にそれぞれ引き下げられました(表1参照)。

【最高税率の引き上げと税率構造の見直し】
表2のように法定相続分に応じた各取得金額が、2億円超3億円以下の人および6億円超の人については税率が5%引き上げられました。

【小規模宅地等の特例の拡充】
(1) 特定居住用宅地等の適用限度面積の引き上げ
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算特例について、特定居住用宅地等の適用できる限度面積が240平方メートルから330平方メートルに拡大されました。
(2) 特定居住用宅地等と特定事業用宅地等との「完全併用」
特定居住用宅地等と特定事業用宅地等を併用適用する場合には、「完全併用」が可能となり、それぞれの区分における限度面積(330平方メートル・400平方メートル)まで特例の適用対象とされました(最大適用面積730平方メートル)。

【相続時精算課税制度の適用要件見直し】
(1) 受贈者要件に20歳以上の孫が追加されました。
(2) 贈与者要件にある年齢要件が、60歳以上に引き下げられました。

【事業承継税制の要件緩和など抜本見直し】
非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、使い勝手を良くするため適用要件の緩和や負担の軽減など表3のような改正が行われました。

【贈与税率の見直し】
20歳以上の直系卑属に適用される贈与税の税率表と、その他の者に適用される税率表が別になりました(表4参照)。

【相続財産に係る譲渡所得の課税の特例の見直し】
相続財産である土地等を譲渡した場合の特例について、土地等を譲渡した場合に譲渡所得金額の計算上、取得費に加算する金額を、その者が相続したすべての土地等に対応する相続税相当額から、その譲渡した土地等に対応する相続税相当額とされました。