取締役会決議による自己株式取得
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今年の上場会社の定時株主総会の特徴の一つとして、取締役の決議により自己株式を取得ができるよう定款変更をしたことがあげられると思います。
平成13年の商法改正で自己株式取得が解禁され、自己株式を取得するには定時株主総会決議により決議後最初の決算期に関する定時総会の終結のときまでに、買い受けることができる株式の種類、数及び取得価額の総額を決めることになりました。
取締役会は、この定時株主総会の決議(「授権決議」といいます)があれば、その判断により機動的に自己株式を取得できることになりました。
その後、平成15年の商法改正(平成15年9月25日施行)により、取締役会の決議によって自己株式を買い受ける旨を定款に定めることができることになりました(「定款授権」といいます)。
平成16年6月の株主総会の集中日はこの商法改正後最初の集中日であり、定款授権による自己株式取得ができるようにするために定款変更の議案が提出されたのです。
授権決議による自己株式の取得は、定時株主総会で授権枠を設定しておかなければならず、定時株主総会後に自己株式取得の必要性がでてきた場合でも翌年の定時株主総会まで待たなければなりません。
それでは機動的な自己株式の取得が阻害されるとして、産業界の要望により取締役会決議だけで自己株式の取得ができるようにしたのが定款授権の規定です。
ただし、自己株式の取得は定時株主総会の決議によるのが原則であり、定款授権の規定は、定時株主総会において予定のなかった自己株式の取得に対応するためのものだと考えられています。
そして、取締役会決議によって自己株式の取得を行った場合は、取得後最初に招集される定時株主総会において、買受を必要とした理由、買い受けた株式の種類、株及び取得価額の総額を報告する必要があります。これは、取締役の経営判断について株主にチェックさせる機会を与えようとするものです。