公開会社法について

2009年8月30日に投票が行われた衆議院議員選挙は民主党の圧勝に終わりました。民主党は以前から「公開会社法」の制定を主張してきましたが、その実現に現実味が帯びてきました。
民主党の2009年7月23日付け民主党政策集INDEX2009によると「株式を公開している会社等は、投資家、取引先や労働者、地域など様々なステークホルダー(利害関係者)への責任を果たすことが求められます。公開会社に適用される特別法として、情報開示や会計監査などを強化し、健全なガバナンス(企業統治)を担保する公開会社法の制定を検討します。」と記載されています。
選挙前のマニフェストでは公開会社法のことは触れていませんでした。

この政策集にいう株式を公開している会社に求められる健全なガバナンスの担保とは、監査役会や監査委員会に従業員代表を起用することや社外取締役を義務づけることです。
民主党のネクスト金融担当副大臣の大久保勉参議院議員は、上場会社は監査役に従業員代表を最低1人入れることや、取締役のうち3分の1以上を社外取締役にする方針を示しているということです。

2009年7月23日付けの日本経済新聞でも「従業員代表、監査役会に」という見出しの下で民主党の公開会社法について報じています。
従業員代表を監査役に起用するということですが、現行の会社法では従業員はその会社の監査役にはなれません。日々の業務で指揮命令に服する従業員が経営陣のチェックをすることは期待できないからです。
「従業員代表を監査役にする」という民主党の提案が、従業員の身分のまま監査役になることを意味するのであれば、監査役の資格に関する上記の現行ルールを改めることになります。もしこのような意味ならば大きな変更点といえます。

これに対し、「従業員代表を監査役にする」というのが、従業員としては退職したうえで監査役になるという意味であれば、会社の従業員は監査役にはなれないという現行ルールを改正しないでよいことになります。
現在でも、多くの常勤監査役は退職した従業員から選任されています。2007年に選任された常勤監査役の約40%が従業員出身のようです。また、取締役出身者も約30%おり、これらの大半が従業員出身だとすれば合計約70%の常勤監査役が従業員出身ということになります。
そのため、従業員と監査役の兼務を禁止する現行ルールを維持した上で従業員代表監査役の選任を義務づけるのであれば現状とほとんど変わらないと思います。
ただ、「従業員代表」とは監査役選任にあたって従業員の多数の同意を得ることを意味すると思われますが、そうであれば監査役選任議案を株主総会に提出する際に監査役会の同意に加えて従業員の同意も議案提出の要件にするという法案などが考えられます。