公益通報者保護法に関するガイドライン

内閣府国民生活局は平成17年7月19日、「公益通報者保護法に関する民間事業者向けガイドライン」を公表しました。
「公益通報者保護法」は、勤務先の違法行為を内部告発した労働者が、そのことを理由に解雇されることを無効とし、あるいは降格、減給など不利益取扱いを受けることを禁止した法律です。平成18年4月1日の施行が予定されています。
今回公表されたガイドラインは、この法律を踏まえて、事業者のコンプライアンス経営への取り組みを強化するための指針を示すものです。
その内容を簡単にご紹介しましょう。

【事業者内での通報処理の仕組みの整備】
ガイドラインでは、経営幹部を責任者とし、部署間横断的に通報を処理する仕組みを整備、運用することが求められています。そのためには、通報窓口、受付方法を明確に定めて、労働者に十分に周知徹底することが必要です。この通報窓口としては、法律事務所など外部へ委託することもできますし、グループ企業であればグループ共通の窓口を設けることもできます。質問に対応する「相談」窓口も必要ですが、通報窓口がこれを兼ねることもできます。
そのほか、通報処理の仕組みを内部規程で明記することなどが求められています。もちろん、通報処理の担当者には知り得た情報を口外しないことなどが徹底されなければなりません。

【通報の受付】
通報の受付については、電話、ファックス、メールなどの手段がありますが、通報者の秘密を守るため、専用回線を設ける、個室で面談するなどの方法が必要です。通報を受け付けた場合は、調査が必要か否かを公正、公平かつ誠実に検討し、今後の対応を通報者に通知するよう努めなければなりません。

【調査の実施】
調査を実施するには、通報者の秘密を守るため、通報者が特定されないように十分に配慮することが必要です。調査結果は(是正措置を執ったらその結果も)、できるだけ速やかに通報者に対し通知するように努めなければなりません。

【是正措置の実施など】
調査した結果、法令違反などが明らかになった場合、速やかに是正措置・再発防止策を講じ、必要に応じて、関係者の社内処分など適切に対応し、また関係行政機関への報告等をしなければなりません。

【フォローアップ】
通報処理後も、法令違反が再発していないかの確認、通報処理の仕組みの改善、また、通報者に対する不利益取扱いや職場内で嫌がらせが行われていないかの確認などのフォローアップも必要です。

【その他】
その他、ガイドラインでは、通報処理の仕組み、コンプライアンスの重要性を社内で周知し、通報が行われた場合に適正に処理されるような透明性の高い職場環境を形成することも重要であると指摘されています。