会社法現代化へ要綱試案公表
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会社法の現代化に向けた作業が法務大臣の諮問機関である法制審議会で進んでいます。平成に入って株式会社に関する重要な改正が相次いでありましたが、今回の改正作業はその総仕上げといえます。
商法などに定められた株式会社など会社に関する条文と有限会社法を整理統合して「会社法」(仮称)に一本化し、ひらがなの口語体に改める抜本的改正です。現行法は漢字とカタカナの文語体で、読むことさえ難しいものです。法制審議会は改正要綱試案を公表して意見を求めており、平成16年6月ころまでには法律案の要綱がまとまり、平成17年の国会に法案が提出されるとのスケジュールです。
内容的にも数々の改正が予定されています。
現行法では超巨大企業から零細企業まで同等の規制が課せられているのを、要綱試案では会社の実態にあうように規制緩和がされています。例えば、株式を公開していない株式会社については、現行の有限会社と同様、取締役を一人とする、取締役会を設置しない、監査役を置かないなどの選択ができるようになっています。
また現在特例で認められている資本金の最低限度の規制撤廃が会社法に採用され、資本金1円での会社設立が今後もずっとできるようになることが検討されています。
会社再編の点では合併の規制がいっそう緩和されます。合併によって消滅する会社の株主に、存続する会社の親会社の株式を与えることが許されたり、株主総会の承認なしに合併を行える条件を緩和する方向です。
コーポーレートガバナンス(企業統治)の点では、株主代表訴訟について経済界からは取締役の責任の緩和が求められていますが、要綱試案は慎重な姿勢です。
そして、大いに注目されているのは、これまでにない新しい形態の会社の創設が検討されていることです。アメリカで利用されているLLC(Limited Liability Company=有限責任会社)にヒントを得たもので、出資者は出資額の限度で責任を負えば足りるとしながら、他方で会社経営の仕組みについては株式会社のような厳格な規制がされずに、出資者が自由に決められるというものです。新しい制度の創設によって起業の活性化が期待されています。

※ 法制審議会の会社法部会は平成16年12月8日、「会社法制の現代化に関する要綱案」を決定。政府は平成17年通常国会に会社法案を提出し、平成18年の施行の予定です。