マンションをめぐる法律問題
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【建物区分所有法改正のうごき】
建築後20年、30年を経過したマンションが増加するに従い、マンションの老朽化の問題は重大な課題となりつつあります。
それを受けて、現在、区分所有建物(いわゆる分譲マンション)の管理の適正化、その建替えの実施の円滑化等の観点から、建物区分所有法の改正が検討されています。
マンションは、一戸建てに比べ取得費を押さえることができ、治安が悪化する近年、鍵一つで戸締まりができるという利便性も見逃せません。
また、ペイオフ(定期預金などの払戻保証額を元本1000万円とその利息までとする措置)の解禁で、余った資金を活用するため投資目的でマンションを購入し、賃貸に回す人も増えているとのことです。
しかし、マンション購入は、全く関係のない他人と一つの不動産を共有するという側面もあり、それに伴う法律問題も発生します。
今回は、主に修繕・建て替えという観点から、マンションにまつわる法律問題について、説明したいと思います。

【大規模修繕について】
外壁の補修・塗り替え、屋上防水、給水配管等共有部分の大規模な修繕については、4分の3の賛成が必要です。
しかし、これでは条件が厳しすぎ、そのために必要な修理ができなくなり、その結果、にマンション全体の価値を不当に下げてしまう結果になりかねません。
そこで、マンションの形状または効用の著しい変更を伴うもの以外は、2分の1の賛成で修繕が可能となるよう法の改正が検討されています。
老朽化した(しつつある)マンションを購入しようとしている方は、今の法律のままでは、他の住人の意向によっては、修繕が難しい場合もあることに注意すべきです。

【建替えについて】
建替えの決議は、老朽・損傷等の事情により、建物がその効用を維持し、または回復するのに過分の費用を要する場合に限って、5分の4の多数決で行うことができます。
しかし、これでは条件があいまいであり、経済的合理性に合わない場合があるとの批判がなされていることから、老朽化の場合と損傷などの場合とで条件を分けて明確化し、客観的に判断できる基準に改正しようということが検討されています。

【その他中古マンション取得にあたっての注意点】
中古マンションの取得にあたっては、一戸建てと違い、以上のような制限がある点に注意が必要です。
したがって、中古マンションの購入を考えた場合には、最終的な決定をする前に必ず、不動産仲介業者に「重要事項説明書」を交付してもらう必要があります。
重要事項説明書には、マンションの管理規約や管理組合が決議した事項が全て記載されているはずです。
これに修繕等についての決議事項も記載されていますが、審議過程についてまでは記載されていません。
購入したとたんに、多額の修繕費を要求されるということになれば、大変困りますので、購入を検討した際には、修繕計画などが近々に予定されていないかなど、住民に現在の住民の意見の流れを聞くなどして調査を行う必要があります。
また、リフォームについても、ドアや窓などは共用部分であり、原則として勝手に取り替えることができない点に注意が必要です。
さらに、前の居住者の滞納している管理費や修繕積立金は新所有者に引き継がれますので、その点にも注意して、売買代金の支払いの際に清算する必要があります。