ストックオプション税制の拡張(社外高度人材への割当て)
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<ポイント>
◆一定の社外者についてストックオプション税制を活用する余地ができた
◆発行企業が事業計画につき主務大臣の認定を受けることが必要
◆計画認定には会社設立後の年数、社外人材の範囲などの要件が求められる

多くのスタートアップ企業が関心をもつ事柄の一つとしてストックオプションがあります。
応用的には有償ストックオプションや信託を用いるスキームもありますが、IPOを目指すスタートアップにとってのベーシックなスキームは、無償発行で行使時に課税されない税制適格型のストックオプションです。
オプション行使時に課税されないという優遇措置(課税の繰延べ)を受けることができるのは、従来は社内の取締役、執行役、従業員に限られていました。
法改正により、一定範囲の「社外高度人材」に対して発行したストックオプションについても課税の繰延べがありうることとなりました。

ただし、社外者へのストックオプション割当全般について優遇措置があるわけではなく、ストックオプションの発行企業が事業計画について主務大臣の認定を受けたうえで、社外人材に対してストックオプションを発行する必要があります。
この認定を受けるために複数の要件が課されますが、ここでは主だった要件として、認定申請企業についての要件と社外高度人材の範囲についての概略を紹介します。

①申請企業についての要件その1 …設立後の年数など
設立後5年未満の会社であれば、資本金10億円以下または従業員数2000人以下という比較的に緩やかな要件の充足で足ります。
設立後5年以上10年未満の会社については試験研究費等の水準など要件が加重されます。

②申請企業についての要件その2 …いわゆるVC等要件
申請企業がベンチャーキャピタル(VC)などから投資および指導を受けており、最初にVCなどから投資を受けた際の資本金が5億円未満で、かつ常勤従業員数900人以下であったこと。
なお、個人の投資家はここでいう“VCなど”には該当しません。

③社外高度人材の範囲、専門性
たとえば、弁護士、税理士などの国家資格や博士号をもって3年以上の実務経験を積んだ人材や、上場会社の役員として3年以上の実務経験を積んだ人材などが対象とされています。
また、こうした社外高度人材が、製品・サービス開発、事業拡大・販路拡大、ガバナンス体制構築などに貢献することが必要とされています。

事業計画の認定申請は社外高度人材1名ごとに行う必要があります。
また、税制上の優遇措置を受けるためには、上記の主務大臣の認定のほかに、租税特別措置法に基づく一般的な税制適格要件を充足することが求められます。

(参考)経産省の解説ページ
https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/stockoption.html