養育費・婚姻費用算定表の見直し

 高橋 英伸

2020年01月21日

<ポイント>
◆養育費・婚姻費用が増額方向で見直された
◆なお安いとの批判がありうるが、当面は見直し後の算定表が通用か

離婚調停や離婚訴訟において、収入の多い配偶者から少ない配偶者・子に支払われる婚姻費用や、離婚後に子に支払われる養育費の算定基準とされてきた裁判所の養育費・婚姻費用算定表が2019年12月23日、15年ぶりに見直され公表されました。
婚姻費用や養育費を協議によって定める場合はいくらとするのも自由ですが、自主的な合意が成立しづらい時や、協議ができずに裁判所が審判で定める際に算定表が活用されてきました。

しかし、見直し前の算定表では、例えば養育費を支払う親の年収が450万円(手取り350万円程度)、もらう方の子は1名で幼いため育てる母の年収は100万円に満たないという場合(事例1)の養育費が4万円程度とされていたのですが、弁護士会などからは生活実態に合わず安すぎるという批判が出ていました。
今回の見直しではこのような批判や社会情勢の変化を踏まえて全体的に増額されています。

例えば上記の例では4万円程度→5万円程度となります。他にも、
義務者の年収600万円(手取り450万円程度)、
権利者100万円、幼い子一人の場合、
婚姻費用は 見直し前 10万円 見直し後 11万円
養育費は  見直し前 6万円  見直し後 7万円(事例2)
義務者の年収900万円(手取り650万円程度)、
権利者100万円、幼い子一人の場合、
婚姻費用は 見直し前 15万円 見直し後 17万円
養育費は  見直し前 8万円  見直し後 10万円(事例3)

算定表に関する日本弁護士連合会の2016年11月の提言に比べれば非常にマイルドな増額となっています(この提言では、事例1の養育費は8万円(年96万円)、事例2は11万円(年132万円)、17万円(年204万円)でした。個人的には日弁連の提言と今回の見直し後の算定表の中間くらいが妥当ではないかと思います。)。

今回の算定表音見直しは実務上重要であり、2019年12月23日以降は見直し後の算定表を基に調停や審判の手続が進められることになります。低額な養育費等で苦しんでいた母子家庭が今後は少し楽になるのではないかと思います。ただし、算定表が見直されたことのみによって、過去に決まった養育費等の増額を図ることはできません。
なお、2020年4月1日以降、養育費等の強制執行を容易とする改正民事執行法が施行されます。この点については井上弁護士の記事「改正民事執行法の概要-債務者の財産開示手続の強化」をご覧下さい。