非嫡出子の相続分格差は違憲

 片井 輝夫

2013年09月15日

<ポイント>
◆非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする民法規定は違憲
◆最高裁大法廷が過去の最高裁判決を変更
◆すでになされた遺産分割協議や審判は有効

最高裁判所大法廷は、平成25年9月4日、「嫡出でない子の相続分は、嫡出子の相続分の2分の1とする。」との民法第900条4号の規定に従ってなされた遺産分割審判の特別抗告事件で、この民法の規定は、憲法14条1項の法の下の平等に反して違憲であるとする判決を言い渡しました。

非嫡出子の相続分について嫡出子と格差を設ける民法規定は、過去に何度も最高裁で合憲性が争われてきました。
最高裁は、平成7年7月5日に、大法廷(15名で構成される)で合憲とする判決を言い渡していました。しかし、この平成7年大法廷判決は、15名の最高裁判事のうち10名が合憲としたものの、5名の判事が違憲の反対意見を付したものでした。
通常、最高裁大法廷判決があると、論争に決着がついたものとされて争われなくなることが多いのですが、この平成7年判決は、5名もの反対意見があったことから、それ以後も、この規定の合憲性が争われることになりました。そして、違憲とする意見が、合憲とする意見と拮抗するようになってきました。

最高裁は、非嫡出子の相続分を嫡出子と同じとするよう、立法府が民法の規定を改正してくれることを期待していたと想像されますが、立法による是正が進まなかった経緯があります。嫡出子と非嫡出子の相続分を平等とするのが世界的なすう勢であり、国連からも非嫡出子の相続分について格差をなくべきとする勧告を受けていたこともあり、最高裁としても、これ以上合憲判決を続けられないと考えたのでしょう。
今回、最高裁が違憲判決を下すことは、ほぼ確定的なものと予想されていましたが、違憲判決の場合、この民法規定がいつから違憲になったことにするのか、すでにこの規定を有効という前提で解決済みとなっている過去の遺産分割の協議あるいは審判の効力をどうするのかという点が大きな関心事であったのです。解決済みの遺産分割まで遡って争うことができるとすると、相当混乱が生じる可能性があります。

この点について、最高裁は、社会の動向、家族形態の多様化、国民の意識の変化、諸外国の立法の流れなどを総合的に考慮すると、この民法規定は、遅くとも問題の事件の相続が起った平成13年7月当時には違憲状態にあったと述べています。
この判決は、平成7年の合憲とする最高裁判決を否定しているわけではなく、平成13年7月までは合憲であったが、平成13年7月には違憲になっていたということになります。
それでは、平成13年7月以降現在までに民法規定を有効なものとしてなされた遺産分割協議や審判の効力はどうなるかという問題が発生しますが、この点について、最高裁は、平成13年7月には違憲であったとしたら、それ以降の遺産分割協議や審判も無効とするのが本来であるが、解決済みの遺産分割協議についてまでこの違憲判決の効果が及ぶとすると著しく法的安定性を害することになるので、この違憲判決の拘束力は解決済みの遺産分割には及ばないとしました。
少し苦しい論理ですが、結論として肯定的に捉えるべきであり、あとは立法府がこの判決趣旨を尊重して立法措置を採るべきだと思います。