雇用の無期転換手続きについて

 池野 由香里

2018年04月15日

<ポイント>
◆2018年4月から無期転換権の行使が始まる
◆無期転換したからといって正社員になるわけではない
◆どのような人材活用をしていくのか企業として考えるきっかけに

2012年(平成24年8月)に成立した「改正労働契約法」(2013年4月1日施行)により、いわゆる無期転換ルールが定められました。
無期転換ルールとは、有期契約期間が5年を超えて反復更新された場合は、有期契約労働者からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールをいいます。
なお、有期契約労働者とは、パートタイマー、アルバイト、契約社員などの名称を問わず、雇用期間が定められた社員のことです。

ある有期契約労働者に無期転換申込権が発生し、その労働者から無期転換の申込みがあった場合は、使用者は申込みを承諾したものとみなされます。つまり、申込みを断ることができず、その時点で無期労働契約が成立します。

そのためには以下の3つの条件を満たすことが必要です。
1.有期労働契約の通算期間が5年を超えていること
  同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超えていることが必要です。
2.契約の更新が1回以上なされていること
3.現時点で同一の使用者との間で契約していること
 
この法律の施行が2013年4月であり、通算契約期間はここからカウントすることから、2018年4月をもって、無期転換申込権が発生する労働者がいることになります。

なお、無期転換ルールはあくまで「申込権」が発生するものであって、自動的に無期契約に転換するものではありません。
申込みの時期ですが、通算契約期間が5年を超えた場合、その契約期間の初日から末日までの間いつでも無期転換の申込みができることになります。

期間については、一部契約がない期間があっても、以前の期間について必ずしも期間通算ができなくなるわけでなく、例えば、無契約期間の前の通算期間が1年以上あって、かつ、無契約期間が6か月未満である場合には、その前の有期労働契約も通算契約期間に算入されます。
これを「クーリングされない」、という言い方をします。
逆に6か月以上無契約の期間がある場合にはクーリングされることになり、以前の期間は通算期間に算定されないことになります。

注意すべき点は、無期転換の申込を行ったからといって、その労働者が正社員になるとは限らないということです。
給与や待遇等の労働条件については、労働協約や就業規則、個別の契約等で別段の定めがある部分を除き、直前の有期労働契約と同一の労働条件になります。

厚生労働省によれば、無期転換制度の導入を人事管理の在り方を見直すきっかけと捉えることが大切である、とされています。
確かに、現実には、何度も契約が更新され、無期契約社員と同じように会社に貢献し続け、かつ、解雇権法理の適用を受けて簡単に雇止めできなくなっている有期契約労働者が少なからず存在しています。
そうであるにもかかわらず、形式的には有期契約労働者として扱われているというアンバランスな状態が続いていたのです。
厚生労働省の調査では、正社員以外の労働者から正社員への登用制度があるのは、72%、過去1年の登用実績が55%、といずれも前年の調査結果を上回っており、このような流れのなか、長期間働いているいわゆる非正規の労働者を今後どのように処遇していくのかというのは、会社にとって重要な経営判断事項だと思います。