遺産分割における寄与分の定め方

 木ノ島 雄介

2016年08月01日

<ポイント>
◆相続人以外の者の寄与により相続人の寄与分が認められることがある
◆寄与分が認められるためには「特別の寄与」でなければならない

相続のご相談の際、「寄与分」の説明をさせていただくことがあります。最近はインターネットで調べたうえで相談に来られる方もいて、質問を受けることもあります。
ご存知の方も多いと思いますが、「寄与分」とは、遺産分割にあたり、亡くなった人(「被相続人」)の財産の維持・増加に特別の寄与をした相続人に、それに見合う財産を取得させる制度です。
相続人である自分には「寄与分」が認められるのではないかとのご相談で多いものは(認められるか否かはともかく)、その方が被相続人である親と同居して面倒をみていたケースや、被相続人が亡くなる前にその療養看護をしていたケースです。

相続人以外の者が財産維持・増加に寄与したといえるケースもありますが、その者(たとえば相続人の配偶者)には「寄与分」は認められません。もっとも実務上は、相続人以外の者の寄与により、相続人の「寄与分」が認められることがあります。たとえば被相続人の子(相続人)の「寄与分」の有無を判断する際に、子の妻が被相続人の療養監護をしていたことを考慮することがあります。また、被相続人よりも先に子が亡くなっていれば孫が相続人となりますが、その孫の「寄与分」の有無を判断する際に、先に亡くなった子(被代襲者)や孫の母親(被代襲者の妻)が被相続人の農業に従事して相続財産の維持に寄与したことを考慮した裁判例もあります(平成元年12月28日東京高等裁判所決定)。

なお、「寄与分」が認められるためには、たんなる寄与ではなく「特別の寄与」でなければなりません。「特別の寄与」といえるためには、親族の扶養義務や夫婦の協力扶助義務の範囲を超えたものでなければなりません。
たとえば子は親の扶養義務を負っていますので、親の面倒をみたからといって、当然に「寄与分」が認められるわけではなりません。
また、たとえば相続人である妻が亡夫の療養監護をしたとしても、夫婦の協力扶助義務の範囲内として「特別の寄与」と評価されないことが多いです。

以上を踏まえたうえで、ある相続人の「寄与分」をいくらとするのか、相続財産の○分の○と評価するのかについて、共同相続人の話し合いによって決めることができれば、それを前提とした遺産分割協議書を作成することになります。

共同相続人の話し合いによっても決められないときは、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立て、調停委員を交えてあらためて話し合っていくのが一般的です。それでも「寄与分」が決まらずに遺産分割の調停が不成立となり、審判手続に移行したときには、寄与分を定める審判の申立ても併せて行うことになります。手続に関することも含めて、「寄与分」を共同相続人の話し合いで決められないときには、一度法律の専門家に相談されることをお勧めします。