請負代金の支払に関する建設業法の規制

 嶋津 裕介

2017年09月15日

<ポイント>
◆元請負人からの下請代金を速やかに支払わせる規定がある
◆発注者も元請負人に速やかに請負代金を支払わなければならない
◆違反のおそれがあれば「駆け込みホットライン」への通報も要検討

建設業法24条の3は下請代金の支払に関して定めています。
つまり、元請負人は、発注者から請負代金の支払を受けたときは、その支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して1か月以内かつできる限り短い期間内支払われなければなりません。
発注者から支払があったら、速やかに下請負人に払わなければならないということです。
発注者から工事完成後の支払いがあった場合だけでなく、出来高部分の支払いがあった場合も含みます。
このときその出来高に相応する下請代金を下請負人に支払わなければなりません。
元請負人が前払金の支払い受けたときは、下請負人に対して、必要な前払い金を支払うよう適切な配慮をしなければなりません。

また建設業法24条の4は、検査及び引渡しの観点から定めています。
元請負人は、下請負人から工事が完成したと通知を受けた日から20日以内でかつ、できるだけ短い期間内にその完成を確認する検査を完了しなければなりません。
そして、元請負人は、その検査によって完成を確認した後、下請負人の申出があれば、直ちにその引渡しを受けなければなりません。
下請契約での特約で、引渡日について、完成の時期から20日を経過した日以前の一定の日を定めている場合はその特約によります。
これらは検査や引渡受領をわざと遅らせることで支払を先延ばしすることを許さない規定です。
支払が先延ばしされると、下請負人の資金繰りに多いに影響します。材料代や孫請負人への支払いを先行させなければならないからです。これらの支払いがなされないとなると
孫請負人等にも重大な影響が及びます。
形式的に検査したものの、理由のない是正要求をしてくるなどして、検査完了を遅らせるのも、この規定を潜脱するものとして違反のおそれがあると考えます。
引渡に関しては、引渡に対する受領証を発行しないという形式的なことではなく、例えば、発注者には既に引渡しをしているなど、客観的に判断されるべきものと考えます。

さらに建設業法は、一定の組織・規模を有するとして許可を受けた特定建設業者に関しては、その下請代金の支払期日に関して一律の規制をしています(下請負人が一般建設業者であり、個人または資本金額が4000万円未満の法人である場合に限ります)。
すなわち、支払期日は、下請負人から引渡の申出があった日(あるいは特約で引渡日と定めた日。前述のもの)から50日以内で、かつ、できる限り短い期間内において定められなければなりません。
この定めがなかったり、違法な定めがなされてたりしている場合は、法律に従った支払い期日があるものとみなさされます。
支払に関しては手形期間120日を超える長期手形で支払ってはなりません。
そして、当然のことながら、このような支払期日の定め(ないし法律)に従った支払いがなされなければなりません。支払がされなければ、引渡の申出日からその日数に応じた遅延損害金を払わなければなりません。

これらの規制は、元請負人から下請負人に対する支払いに関するものです。
しかし、元請負人から下請負人に対して速やかに支払いがなされるためには、発注者から元請負人への支払いがなされていることも実際上、重要となってきます。
そこで、国土交通省の「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」では、建設業法第24条の5に照らして、望ましくない発注者の行為として次の2例を挙げています。
(1)請負契約に基づく工事目的物が完成し、引渡し、終了後、発注者が受注者に対し、速やかに請負代金を支払わない場合
(2)発注者が、手形期間の長い手形により請負代金の支払を行った場合

これらの建設業法に違反するおそれのある行為があった場合について、国土交通省は、地方整備局等に「駆け込みホットライン」を設けています。
平成28年は1719年の通報があったとのこと。これも契機としてと思われますが、平成28年中、営業停止32件、指示8件、勧告184件の監督処分などがなされています。