西武鉄道専務ら、総会屋への利益供与の疑いで逮捕

 嶋津 裕介

2004年03月15日

西武鉄道の専務取締役らが株主総会を円滑に運営する目的で、総会屋に対し土地売買の差益8800万円を提供したとして、平成16年3月1日、西武鉄道の専務ら6人と総会屋の秘書ら3人が商法違反(利益供与など)の容疑で逮捕されました。
企業のコンプライアンス(法令遵守)経営が叫ばれる昨今において、旧態然とした利益供与が今も行われていることに驚きを感じます。
総会屋への利益供与が犯罪として処罰され、企業が社会的に厳しい非難を受けるのは、不明朗な支出をして会社に財産的損失を与えたからというだけではありません。経営戦略を策定し、経営判断の役割を担うのは取締役や執行役ですが、会社を根本においてコントロールすべきなのは株式を通じて会社を所有する株主です。その株主の最も重要な意思表明機関、議決機関として位置づけられるのが株主総会です。その株主総会で、役員側が総会屋に協力を求め、一般の株主が自由に意見を述べ、議決権を行使することを遮らせれば、役員らの恣意的判断をチェックする機会が失われ、役員らが会社を私物化して、株主の利益を害するおそれがあります。さらに環境、雇用、人権、法令遵守、地域貢献などCSR(社会的責任)など期待できません。
総会屋根絶を目指して利益供与罪が設けられたのは昭和56年の商法改正においてです。
その後も利益供与事件は後を絶たず、平成9年には四大証券会社の総会屋への損失補填事件などをきっかけに、総会屋に対する利益供与要求罪が新設されるなど取締りが厳しくなりました。さらに、平成12年には子会社からの利益供与も禁止されることとなりました。今回の事件はこの禁止規定が適用できるとの判断があったものと思われます。
企業トップの決断がなければ、企業は株主、社会からの信頼を失い、その経営の根本が揺らぎます。