自転車運転者講習制度

 高橋 英伸

2015年08月15日

<ポイント>
◆危険運転を2回繰り返す者に講習が課される◆受講しない者には罰金刑(反則金ではなく刑事罰)
◆企業は業務・通勤時の自転車使用により注意を払うべき

平成27年6月1日に改正道路交通法が施行され、危険行為を繰り返す自転車運転者に対して自転車運転者講習を課すことになりました。
危険運転としては信号無視、酒酔い運転(より軽い酒気帯び運転ではない)、遮断踏立入り、一時不停止違反などの14類型が定められており、これらに違反し2回以上摘発されると、都道府県公安委員会から講習を受けるよう命令が出されます。

講習時間は3時間、手数料は5,700円で、この受講を受けないものは5万円以下の罰金を科されます。これは反則金ではなく刑事罰ですから、罰金を科されると前科が付きます。たかが講習だろうと他の予定を優先させると大変なことになってしまうということです。

統計などはまだ見当たりませんが、さっそく本改正に基づいた取締りが始まっているという情報は耳に入ってきます。例えば、車両一時停止規制のある場所でも自転車ではしっかり足をつけて停止しない人は多いのではないでしょうか。
物陰で警察官が見張っていればそれで1回摘発されてしまうでしょう。

民事賠償の関係では、今回の改正が自転車による事故の賠償責任に与える影響はないのではないかと思います。あくまで講習制度が始まっただけであり、新たに自転車の運転それ自体に新たな規制や注意義務が課されたわけではないからです。

自転車の事故による死傷者数は年々減少する傾向が続いていますが、エコや健康の観点から特にスポーツタイプの自転車利用者が増えており、自転車対歩行者の事故に限っては増加傾向にあります。最近は業務上の自転車利用も増えている印象です。
また、国際的にみれば日本の人口当たり自転車事故死者数は先進国中最多であり、走行距離当たり死者数でみても北欧諸国の2倍ほどになっています。わが国における自転車利用の安全性に関してはまだまだ改善の余地があるといえるでしょう。

最後に、当職の経験上、業務上の車両(貨物・旅客の運送、商品の配達等)は、何かと急ぐためか、比較的危険な運転をして事故を起こしやすい印象があります。業務上の自転車の利用が増えれば同様のことになるのではないかと懸念します。

このようなことから、特に企業は本改正に留意すべきと考えます。従業員に対する教育を徹底するなどして業務や通勤の上で繰り返し摘発されることがないようにすべきですし、摘発されたり受講を怠った従業員をどう処遇するかにつき新たに検討しておく必要があるでしょう。