職務発明制度の改正点 従業員が受けるべき「相当の利益」

 森田 豪

2016年04月01日

<ポイント>
◆平成27年特許法改正は本年4月1日より施行
◆改正法では職務発明により従業員が受ける「利益」は金銭に限られない
◆ストックオプション付与、人事考課上の評価といった方策もありうる

平成27年改正特許法が本年4月1日から施行されます。
社内規程により職務発明を発生当初から会社帰属とできること(原始帰属)や、職務発明について従業員が受けるべき「相当の利益」を社内でいかに定めるかについて経済産業大臣からガイドラインが示されることなどが大きな改正点です。後者のガイドライン案についてもすでに公表されています。
報道などでは余り強調されていませんが、職務発明により従業員が受けるべき「相当の利益」は金銭に限られないという点も重要です。

改正前は、職務発明を会社に譲渡することにより従業員は対価として金銭を受け取るものとされていました。この点は条文上は「対価の支払」や「対価の額」という文言に表れていました。
これに対して改正法では「対価」や「額」という表記がなくなり、従業員は「相当の金銭その他の経済上の利益」を受けるものとされ、経済的価値があれば金銭に限られないことが明らかにされています。
特許庁の解説では改正法における「相当の利益」の例として、会社の費用負担による留学の機会の付与、ストックオプションの割当て、金銭的処遇の向上を伴う昇進・昇格などがあげられています。賞与査定において一定のプラス評価をするという方策もありうるでしょう。

職務発明を行ったからといって従業員に給与・賞与とは別に金銭を支払うことについては、発明を奨励するためのインセンティブとして積極的な評価をする企業もある一方で、他の従業員との関係で不平等になりかえって社内の士気を下げることにもなりうるという否定的な評価がされることもありました。
職務発明により従業員が受ける利益が金銭にかぎられないとすれば、発明奨励のインセンティブ確保と社内での処遇の公平性という二つの要請のバランスを取りやすくなります。
人事公課においてプラス評価の要素としたり、ストックオプションを割当てるといった方策であれば、研究開発部門など発明に関わる従業員と他の部門の従業員の双方に共通する枠組みのなかでの処遇です。
そうした共通の枠組みのなかで、他部門の従業員も含めて「成果を出した者が評価される」ということにしていけばいいのです。

職務発明を会社に原始帰属させるかどうかだけではなく、従業員が受ける「利益」の内容についても検討してみてはどうでしょうか。