第三者割当増資等は総会決議事項に

 片井 輝夫

2008年12月15日

政府は、第三者割当増資等に関して株主総会決議を要する方向で会社法の改正を検討することとなりました。
次の会社法改正の主要議題となり、2011年の通常国会への改正案提出をめざすそうです。

会社が発行する株式総数(授権株式数といいます)については定款で定められ、上場企業ではこれを超えない範囲の新株発行は取締役会の決議のみで行えることになっています。
授権株式数を増加するには、定款変更が必要ですので、株主総会決議を経なければなりませんが、授権株式数以内であれば、取締役会が原則として自由に新株を発行することができます。
第三者割当増資とは、特定の第三者に新株を割り当てて発行することで、例えば、企業が他社と共同事業を起こすような場合に、提携先からも出資を仰ぐというような場合を想定しています。そして、取締役会決議のみで第三者割当増資が行えるようにしているのは、機動的な資金調達を可能にするためと言われています。
しかし、第三者割当増資が大規模に行われると、当該企業の株主構成が大きく変化することになります。なかには、新たな事業展開のための資金調達を名目にしているものの、実際は、買収防衛のためや、企業の経営権争奪のために第三者割当増資が利用されることも多いのです。
また、こういった目的で、ファンドや関係会社を味方に取り込み、見返りに多額のキャピタルゲインを得させるような新株発行が行われる場合があります。また、資金繰りに困っている企業が、資金調達を焦ってファンドなど特定の者に対して大量の転換社債を発行するということも起こりえます。
こういった場合、既存株主や少数株主の利益が害されることになります。
専ら現経営陣の支配権の確保を目的とするような第三者割当増資などは著しく不公正な発行とされ、既存株主は、新株発行を差し止めることができることにはなっています。しかし、現実に差し止めるには、仮処分などの法的手続が必要であり、一般の株主が行うには相当の困難が伴います。

そこで、第三者割当の場合に株主総会決議を経させるようにしようというのが、今回の改正の方向のようです。