社用車の管理と使用者責任

 高橋 英伸

2017年07月01日

<ポイント>
◆業務外の社用車使用でも会社が責任を問われることがある
◆業務外の社用車使用については管理の徹底を

従業員や役員が社用車を使用する会社は多いと思います。そして、従業員が業務中に事故を起こした場合、運転していた従業員のみならず会社も責任を負う(使用者責任といいます)ことは周知の事実でしょう。
他方、従業員が業務外で社用車を使用していた際の事故につき会社が責任を負うか否かについては余り知られていないかもしれません。今回はこの問題について解説します。

従業員が業務外で社用車を使用していた場合は、例えば、休憩中、寄り道中、休日使用などが考えられます。業務外使用中の事故の場合、事実として会社の業務のために車は使用されていません。この点だけ見れば会社は責任を負わないように思われますが、実際には会社が責任を負うことが多々あります。
民法上、従業員の業務中(法文は「事業の執行」)の不法行為に基づく第三者の損害につき会社が連帯して賠償責任を負うものとされています。そして、業務中に該当するか否かは、現に業務中であったか否かではなく、行為の外形から判断するものとされています(この考え方は外形標準説といわれます)。分かりやすい例を挙げれば、社名の記された車両が事故を起こした場合です。この場合、第三者は「〇〇社」の車が事故を起こしたと思います。実は休日の従業員が運転していた車でも、第三者は業務中の事故という見方から入ってしまうものでしょう。

そして、裁判例を見ていると、休憩中や寄り道中は、会社の指揮命令から完全に外れたとはいえないといった理由で広範に使用者責任が認められているように思われます。少なくとも、何をもって業務中の外形があると認めるか否かの基準がはっきりしません。
現状では、従業員が休日に社用車を使用した場合でも会社の賠償責任が肯定される可能性があります。

業務外の事故であれ任意保険が使えれば、会社にとって経済的なダメージは全くないかもしれません(あっても保険料の値上がり程度)。しかし、重大事故であれば会社のイメージ・信用に多大な影響が出る場合があります。休憩中や休日の使用の容認、寄り道の容認などをすれば、それだけ事故発生の危険性と会社が不足の損害を被る可能性が高まります。会社としては、業務外の社用車使用についても油断せず、厳重に管理をする必要があるといえます。