男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正されました

 池野 由香里

2016年12月01日

<ポイント>
◆マタニティハラスメントについて事業主に防止措置義務
◆上司・同僚のマタニティハラスメントも法規制の対象に
◆介護・育児休業制度が利用しやすく

男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正され、マタニティハラスメントに対する事業主の措置義務が課されるとともに、介護休業・育児休業がより利用・取得しやすくなりました。
今回はこれらの法改正の内容を解説します。

マタハラという言葉を聞かれたことはあるでしょうか。
マタハラとは、マタニティハラスメントの略で、妊娠・出産やそれにともなう休暇取得などに対する嫌がらせ一般を言います。
これまでは、事業主に対する義務として、妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止と育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱いの禁止を定めていました(均等法、育児・介護休業法)。
今回の改正により、事業主に対し、上司・同僚からの妊娠・出産等に関する言動により妊娠・出産等をした女性労働者の就業環境を害することがないよう防止措置を講ずることと、上司・同僚からの育児・介護休業等に関する言動により育児・介護休業者等の就業環境を害することがないよう防止措置を講じることが、さらに義務付けられました。
改正法は、平成29年1月1日から施行されます。

不利益取り扱いとは、解雇することや雇止めをすること、降格や減給をすること、人事考課において不利益な評価を行うこと、不利益な配置の変更を行うことなどがあげられます。
なお、今回の改正により、育児・介護休業法に基づく不利益取扱いの禁止は、派遣先にも義務付けられることになりました。

妊娠・出産、育児休業等に関するハラスメントとは、上司・同僚からの言動により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者等の就業環境等が害されることをいいます。
妊娠・出産、育児休業等に関するハラスメントは、大きく、「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」にわけられます。
「制度等の利用への嫌がらせ型」とは、①上司が、制度等(制度や措置のこと。以下同じ)の利用に関し、解雇その他の不利益な取り扱いを示唆すること、②上司が、制度等の利用の請求等または制度等の利用を阻害すること、③上司・同僚が、制度等の利用をした労働者に、繰り返しまたは継続的に嫌がらせ等をすることをいいます。
「状態への嫌がらせ型」とは、①上司が、妊娠した労働者に対し、解雇その他不利益な取り扱いを示唆すること、②上司・同僚が、妊娠した労働者に対し、繰返しまたは継続的に嫌がらせ等をすることをいいます。
ただし、業務の調整を行うために、休暇等の取得時期をずらすことが可能かどうか労働者の意向を確認する行為や体調に応じて残業量を減らそうとしたり負担の軽い業務に変わらせたりすることは、業務上の必要があるものとして、ハラスメントとして禁止される行為ではありません。

介護休業については、①これまで対象家族1人について原則1回に限り取得可能であったのが、3回を限度として分割取得が可能となり、また、②これまで取得が1日単位であったのが半日単位での取得が可能となりました。
また、③介護のための所定労働時間の短縮措置が、これまでは介護休業と通算して93日の範囲内で取得しなければならなかったところ、介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能となりました。
さらに④対象家族1人につき、介護終了まで利用できる所定外労働の制限を受けられる制度が新設されました。

育児休業等については、①有期労働者が、従来に比べて育児休業を取得する要件が緩和され、ⅰ申し出時点で過去1年以上継続し、雇用されていること、ⅱ子が1歳6か月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと、の2要件になりました。
また、②子の病気のときの看護休暇がこれまでの1日単位の取得から、半日単位での取得が可能となり、③育児休業等の対象となる子の範囲が、これまでは、法律上の親子関係のある実子・養子であったのが、「特別養子縁組の監護期間中の子、養子里親縁組の委託されている子等」も新たに対象に含まれることになりました。