特定調停手続を利用した事業の再建の方法について

 井上 彰

2017年08月15日

<ポイント>
◆特定調停手続を利用した事業再建の概要

比較的小規模な中小企業(概ね年間売上(年商)20億円以下、負債総額10億円以下の企業)の再生を図るプラットフォームとして、特定調停手続を活用して事業再建をする方法があります。
特定調停とは、債権者に対して返済を続けていくことが難しい方が、債権者と返済方法などについて話し合い、生活や事業の立て直しを図るための手続です。申立ては個人であっても法人であっても可能で、基本的には関係者の話し合いによる解決を目指す手続です。
この方法は、金融債権者との話合いにより事業の再建を目指すものであり、近年活用事例が活発に議論されています。

1 特定調停手続を利用する方法の特長
(1)申立て前段階で、申立人代理人(弁護士)が金融債権者と調整をおこない、その後の特定調停手続によって同意が得られる一定の見込みがあることが前提とされている
(2)原則として、特定調停手続内において財務デューデリジェンスや事業デューデリジェンス等を実施せず、1・2回の期日での成立を目指す。
(3)国税庁からの回答により債務免除益課税や債権放棄における貸倒損失処理についての税務上の対応が明確になっている。そのため債権者にもメリットがある。

2 利用が想定されるケース。
利用事例の増加によりケースはさまざまですが、おおよそ以下のようなものが考えられます。
(1)自主再建型
債務の一部について免除してもらい、一定期間で弁済できる残債務について分割して弁済していくものです。
(2)事業譲渡型
事業譲渡(スポンサーからの資金提供により第2会社を設立し、第2会社に事業譲渡)ないし会社分割を実施し、その代金をもって弁済を行い、残債務を免除してもらう方法です。
(3)事業承継型
過大となった負債について、事業承継時に一部免除してもらう方法です。

3 利用になじまないケース。
当社の提示する再建計画案に対してメインバンクが絶対に反対するというケースでは、たとえほかの金融機関が賛成してくれても特定調停で処理することは困難です。当事者間の合意によって負債を処理する手続であるためです。