法律意見書とはどのようなものか?

 森田 豪

2014年07月01日

<ポイント>
◆経営判断にあたって法律意見をとりつけておくことは重要
◆法律意見の対象事項、前提条件は特定されるべきもの
◆弁護士は法律意見書の「わかりやすさ」にも配慮すべき

法律意見書は、その名のとおり、特定の法律的問題について弁護士が法律専門家としての見解を述べるものです。
たとえば、企業経営者がリスク含みの経営判断を行う場合に「取締役の善管注意義務に反しないか」というテーマでクライアントから法律意見書の作成を依頼されるケースが典型的です。アパマンショップホールディングス株主代表訴訟に関する最高裁判決(平成22年7月15日)は、取締役の経営判断上の責任の有無を判断するにあたって、取締役が弁護士から法律意見をとりつけていたことを考慮要素として挙げています。
このほか、新規事業の適法性や契約内容の法的拘束力について意見書作成を依頼されることもあります。

法律意見書は弁護士がクライアントに宛てて作成するものであり、クライアント内部で参照されることを念頭においています。
ケースによってはクライアントが法律意見書を契約相手や金融機関など第三者に提出することを想定していることもありますが、この点については弁護士とクライアントの間で認識が喰いちがわないように注意が必要です。
弁護士は意見書作成の依頼を受ける際に、法律意見書の使途や提出先をクライアントからヒアリングすることになります。

法律意見書の内容は法律専門家としての見解を述べる部分が中核ではありますが、それ以前に、意見書においていかなる事項を検討対象とするのか、どのような事実関係や資料を前提に検討を行ったのかが特定されなければいけません。
一般に法律意見書が必要とされるのはデリケートな場面であると考えられ、こうした前提事項の特定は気をつかう部分です。
組織内での意思決定にまつわる諸々の配慮からかクライアント内部では「前提条件をあまり限定せずに適法と言ってほしい」という要請があることも確かでしょう。
しかし、弁護士としては前提が不特定なまま「法律上問題ありません」などとただ漠然とした見解を述べることはできません。弁護士自身にとってのリスクヘッジという観点もないではありませんが、それだけではなく、クライアントにとっても慎重な意思決定プロセスの一端となるものでなければ法律意見書をとりつけることに実際の意味はありません。
前提条件をどこまで限定するのかについて、クライアントの法務担当者と弁護士との間で調整を行う場合もあります。法務担当者にとっては社内外の両面をにらんだ調整となり、力量が問われる場面でもあるでしょう。

法律意見書はその性質上専門的な内容となり、ボリュームとしても長文にわたることが多いです。
この点に関して私が法律意見書作成時に留意していることが2点あります。
留意事項の1点目は、法律意見書の冒頭箇所に要旨を記載することです。長文であっても要旨をはじめに示すことで多少なりとも理解しやすくなります。
留意事項の2点目は、専門用語を用いる場合にはその意味について説明を行うことです。
「取締役の善管注意義務」「経営判断原則」など、どうしても避けてとおることができない専門用語があります。そうした用語については意見書中の初出箇所で意味を説明するようにしています。