死因究明制度の改革

 片井 輝夫

2014年11月01日

<ポイント>
◆政府は、死亡原因の調査のための死因究明制度を検討中
◆災害による死者、行方不明者の身元確認、犯罪死の見落とし防止などが期待される

人の死亡原因は、病死、事故死、災害死、自殺、他殺など様々です。また、発見されたときの死体も、腐乱死体、白骨化した死体など様々です。大半の死亡は病死ですが、この場合、医師の治療下で死亡する場合は、担当医師がいわゆる死亡診断書を作成し、直接死因や間接死因などを記載し、遺族はこれを添付して死亡届を提出することになります。医師の治療下でなく死亡した場合でも、例えば出先で脳溢血が原因で倒れて救急車で病院に送られたところがすでに死亡していたというような場合も担当医が死体検案書を作成することになります。

次に、死因を究明する方法としては、病理解剖、行政解剖、司法解剖があります。
病理解剖とは、医師や遺族が死因を確認したいという場合に行う解剖で、遺族の同意を得て行います。
行政解剖とは、独居老人が孤独死したとか、いわゆる行き倒れ死体のように、死因が判明しない場合に行われる解剖です。行政解剖は、都道府県知事が任命している監察医によって行われます。行政解剖は、遺族の同意を必要とせず強制的に行われます。
司法解剖とは、死因に犯罪性がある場合に、警察によって行われる解剖です。行政解剖により、殺人、傷害致死、過失致死など犯罪性があることが判明した死体については、司法解剖が行われます。行政解剖や司法解剖は、医科大学の法医学教室が委嘱により実施しています。

現行の死因究明制度については、様々な問題点が指摘されています。
ひとつは、監察医に関する体制が、全国でバラバラであり、正式な監察医がいない府県もあって、犯罪死を見逃している可能性があることが指摘されています。
次に、最近、歯科治療痕跡、DNA鑑定、薬物の科学的組成鑑定など、法医学的技術の進歩も著しいので、これらの技術を統一的に活用すべきと考えられます。
こういった制度整備は、地震、津波、山崩れ、噴火などの大災害による被災者の身元確認や、認知証による行方不明者の特定、死因調査などに役立つのではないかと思われます。また、死因究明制度としてシンプルな制度を構築すること、法医学専門家を育成すること、身元確認のためのデータベースを整えることなどが改革案として検討されています。
現在、この死因究明制度構築作業は、最終報告書を作成する段階にありますが、早期に法案化されることを期待したいと思います。