株券廃止 その3

 池田 佳史

2005年01月01日

メールマガジン第21号(平成16年11月15日発行)で、株券の発行義務がなくなるように商法が改正されるとの記事を載せましたが、改正法である「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律」が、平成16年10月1日に一部についてのみ施行されました。
今回施行されたのは、主として、株式会社は、定款で定めることにより株券を廃止できるとする条項です。これによって、すべての株式会社は、定款変更をして株券を廃止できることになりました。
この法改正の主な目的は、近い将来上場会社の株券を廃止することにあります。
もっとも現段階においては、株券の発行は上場のための前提条件ですので、上場会社が株券廃止の定款変更をすることは事実上不可能です。
そこで、上場会社については、株券がなくても上場を可能とする諸制度が整備された段階で、株券廃止の定款変更が当然になされたものとみなされ、結果、株券が廃止されることになるとの取り扱いとなります(施行規則第6条)。その施行時期については本改正法が公布された平成16年9月9日から5年内とされています。
本改正法が施行されれば、上場会社の株券は無効になりますが、株券の所持人が一応権利者と推定されるので、株主名簿の名義変更をすれば、口座により取引きをすることができます。
しかし、株券を所持しているだけで、株主名簿の名義変更をしていなければ権利を失うこともありえます。たとえば、株式市場外で株券を譲り受けた場合や、証券会社を通して市場で購入し、証券会社から株券の交付を受けた場合に、株主名簿の名義変更をしていなければ、従来からの名義人が株主として取り扱われ、株主の地位(株式)が第三者に譲渡されてしまう可能性があります。特に後者の場合には、名義人の住所、氏名しかわからないということになりますので、不測の損害を蒙ることも十分にありえますので十分に注意してください。