株主総会における「一括審議」の今日的意義

 森田 豪

2018年01月01日

<ポイント>
◆議事進行の分かりやすさなどから一括審議の採用が増えている

株主総会における議案の審議の進め方には「個別審議」と「一括審議」の各方式があります。
個別審議方式では、提案者(会社提案であれば取締役)による議案内容の説明、株主からの質問とそれに対する回答、その後に採決という手順を各議案ごとに繰り返します。
これに対して一括審議方式では、全議案について議案内容の説明をまとめて行い、次に全議案を対象として株主からの質問をまとめて受け付けます。議案説明と質疑応答をそれぞれ1回でまとめて済ませ、その後は第1号議案から順々に採決を行います。議案ごとの採決の合間で説明や質疑応答を繰り返すことはしません。

一括審議方式はもともとは総会屋への対策として採用されるようになったテクニックでした。個別審議では議案の数だけ総会屋に発言のチャンスがありますが、一括審議であれば株主の発言の機会を1回だけに制限しやすくなります。
現在では総会屋の問題は深刻ではなくなりましたが、それでも多くの上場企業が一括審議方式を採用しており、その割合は年々増加しています。
商事法務研究会の調査結果(株主総会白書2017年版)によれば、アンケートに回答した上場企業1730社のうち62.8%が一括審議方式を採用しているとのことです。
総会屋対策が叫ばれる時代ではありませんが、一括審議方式の採用が増加しているのはなぜでしょうか。

まず、総会の議事を混乱なく円滑に進めるべき要請は今も昔も同じであるということを指摘できます。総会屋でなくとも、一人の株主だけが延々としゃべり続ける、何度も発言を繰り返すといったことがあると他の株主が発言できず、結局、充実した審議ができません。
こうしたことを避けるために議長が議事を整理しやすくする必要があり、この点で一括審議はすぐれています。

また、一括審議方式では全議案についてまとめて株主からの発言を受けつけるため、株主はどの議案に対して質問すべきか、どのタイミングで発言すべきかということで迷う必要がありません。「その発言は次の議案のところで」という整理が不要になるため、議長としても負担が軽くなります。こうした分かりやすさも一括審議の利点です。

今後も一括審議方式を採用する企業は増えていくだろうと思われます。