景品表示法に基づく課徴金納付命令

 木ノ島 雄介

2017年03月01日

<ポイント>
◆課徴金納付命令の対象は「優良誤認表示」と「有利誤認表示」
◆合理的な根拠を示す資料を提出しないと「優良誤認表示」と推定される
◆課徴金の額は売上額の3%

マスコミにも大きく取り上げられましたが、平成29年1月27日、一般消費者庁が三菱自動車に対し、燃費不正の再発防止を求める措置命令および課徴金納付命令を出しました。販売用カタログなどで実際の燃費を上回る数値を表示していたことが問題視され、実際の品質よりも著しく良いと一般消費者に誤解させる表示(優良誤認表示)に当たると判断されたことが理由のようです。

課徴金とは、一定の行政目的を達成するために行政庁が違反事業者に課す金銭的不利益のことです。たとえばカルテルや入札談合などの独占禁止法違反行為を防止する目的を達成するために、また、インサイダー取引や相場操縦などの金融商品取引法違反行為を防止する目的を達成するために、課徴金制度が設けられています。
従前、景品表示法上は課徴金制度がなかったのですが、食材表示の偽りが全国のホテルなどで問題となったことがきっかけで、景品表示法にも課徴金制度が導入され、平成28年4月1日から施行されています。
景品表示法につきましては、2014年12月15日に吉田弁護士により掲載された「景品表示法改正と企業が注意すべきポイント」もご参照下さい。

以下、景品表示法に基づく課徴金制度についてお話しします。
景品表示法は以下の表示を禁じています。
①商品やサービスの内容について実際のものや競合他社のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す「優良誤認表示」
②商品またはサービスの取引条件について実際のものや競合他社よりも著しく有利であると一般消費者に誤認される「有利誤認表示」
③その他商品またはサービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれのある表示のうち「内閣総理大臣の指定するもの」

②の典型例としてはたとえば、もともと3000円もしないのに「3000円のものをなんと1000円に」というように、実売価格よりも高い虚偽の価格を併記する二重価格表示が挙げられます。
③の典型例としてはたとえば、国内で生産されたものであるのに外国の国名、地名、国旗などを表示することが挙げられます。

以上の①②③の行為については再発防止などの措置命令を出すことができ、平成28年4月1日以降は、①②の行為については課徴金納付命令を出すことができることになっています。
また、消費者庁長官は、優良誤認表示かどうかを判断するために必要があるときは、事業者に対して期間を定めて表示の裏付け(合理的な根拠)を示す資料を提出するよう求めることができます。そしてその事業者が資料を提出しないときは、措置命令との関係ではその表示は「優良誤認表示」とみなされ、課徴金納付命令との関係ではその表示は「優良誤認表示」と推定されることとなります(不実証広告規制)。

課徴金の額は、違法に得た利益を違反事業者から奪うという観点から、売上額をもとに計算することとなります。課徴金対象期間における①または②の行為に係る商品・サービスの売上額の3%です。
ただし期間は最長3年間です。また、事業者が①または②の行為をした場合であっても、その事業者が①または②の行為をした期間を通じて、「相当の注意を怠った者でない」と認められるときには、 課徴金納付命令を出せません。計算の結果、課徴金額が150万円未満となるときも課徴金納付命令を出せません。

最後になりますが、課徴金の減額制度もあります。違反事業者が、定められた手続にしたがって返金措置を実施すると、課徴金納付を命じない、または減額するという制度です。
参考になれば幸いです。