映像、音なども商標登録可能へ

 高橋 英伸

2013年09月15日

<ポイント>
◆動き、音、ホログラム、輪郭のない色彩、位置が新たに商標として登録可能へ
◆におい、触覚、味は先送りか

2013年9月2日、政府が映像、音なども商標登録ができるようにする方針を固めたとの報道がありました。これは正確には、「動き」、「音」、「ホログラム」、「輪郭のない色彩」、「位置」を商標登録ができるようにするということだと思われます。

「動き」や「音」の商標は、例えばテレビやネットのCMで流れる音声と共に動く著名企業のロゴマークを思い浮かべて下さい。「輪郭のない色彩」の商標は、例えば「クリスチャン・ルブタン」という女性用の高級靴ブランドがトレードマークである赤い靴底を米国で商標登録しています。靴底の特定の形状と赤色を結合させているわけではないので日本の現行法でいう立体的形状と色彩が結合した商標ではなく、「輪郭のない」色彩の商標ということになります。最後に、「位置」の商標は、例えば、高級服飾ブランド「プラダ」の靴のヒール中央、靴の前後方向に入った短い赤いラインの位置が該当します。

日本の現行法では、商標登録ができるのは「文字」、「図形」、「記号」、「立体形状」、これらの組み合わせにさらに色彩を結合させたものまでです。視覚で認識できるものの一部といえます。
もっとも、ブランドイメージの保護の観点からは、映像、音、イメージカラーなどを保護するニーズは高まり続けています。この背景には、インターネットを通じてそれらの情報が企業とユーザーの間で双方向性を持って大量にやりとりされ、違法なコピーや加工も容易にできる時代になっていることがあります。
また、報道によれば、TPPにおいて知的財産保護に関するルールとして映像などの商標登録制度が採用されることもありえるため、TPP交渉に先立って国内法を整備することにしたという事情があるとのことです。確かに、米国や欧州、韓国などでは、動き、音、輪郭のない色彩なども商標として保護しています。他方、日本でも、平成21年に特許庁のワーキンググループがそれらの保護が適切であるとの報告をするなど保護に向けた立法化の動きは始まっていましたが、実現には至っていませんでした。

2013年2月時点での同ワーキンググループの報告では、動き、音、ホログラム、輪郭のない色彩、位置を新たに商標登録ができるようにするのが適切であるとされていることから、まずはこれらが登録できるようになるのではないかと思われます。
他方、「におい」、「触覚」、「味」などについては保護対象にすべきか引き続き検討を進めるという報告になっています。これらについても、現にブランドイメージを確立できている商品は少なからず存在し、保護の必要性は高まってきているとはいえるかもしれません。現に、においを保護対象とする国もあります。しかし、においなどは、視覚や聴覚で認識される情報と比べれば、技術的な問題から情報の共有や再現が容易といえないこともあり、今回、商標登録対象から見送ることは妥当であるように思います。