改正破産法と自由財産の拡張

 片井 輝夫

2005年01月01日

現行の破産法は大正11年に制定された以降、大きな改正がなされていませんでしたが、今般破産法が改正され、平成17年1月1日より施行の運びとなりました。
改正点は、多岐に亘っています。迅速な破産処理を行うため、破産手続を簡素化するとともに破産管財人の権限を強化する一方、不誠実な破産者の罰則を強化していることや、従来、労働債権は、租税債権に劣後する取り扱いであったのを一部租税に優先して配当を受けられるようにしたこと、個人破産者について自由財産の拡張を認めたことなどが主眼点としてあげられます。
ここでは自由財産の拡張についてのみ説明します。
自由財産とは、個人破産者が手元に残せる財産のことをいいます。従来、破産は、破産者の全資産を取り上げて、管財人が換価して、債権者に公平に配当することを原則としていました。その意味では、従来の破産法は、債権者への公平な配当を期する制度であったといっていいと思います。
しかし、いかに破産者であっても、当面の生活費や住まいの敷金、家財道具などは最低限必要ですし、それ以外の財産でも、その人にとって、どうしてもかかせない場合があり得ます。
例えば、大工さんにとっては、のこぎり、かんななどの工具は、処分すれば安価なものであっても仕事を続けるためにはどうしても必要なものですし、廃車寸前の中古車でも生活に必要な人もいますし、また、老齢で病気がちの人にとっては、生命保険はかかせないものであったりします。
従来のやり方のように破産者の財産をすべて取り上げると、破産者が経済的に再起しようとしてもなかなか難しくなり、場合によっては浮浪化などが起こり、社会から脱落しかねません。
そこで、改正破産法は、原則として、現金の場合は99万円までを債権者への配当に回さずに自分の手元に残せるようにしました。また、現金以外のものであっても現金を含めて総額99万円まで、場合によっては、裁判所の裁量で99万円を超えて財産を残すことができるようになります。
この意味では、改正破産法は、免責制度(破産宣告時の債務を法的に免除すること)と相まって、破産者の財産的な清算を行うとともに、経済的再起を促進する制度に変わったものといえます。