所有権や登記制度に関する民法改正の検討

 森田 豪

2018年08月15日

<ポイント>
◆所有権や登記制度に関する物権法改正が検討されている
◆相続の場面が念頭におかれており、個人にとっても影響が大きい

民法改正の動きが続いています。債権法改正が昨年成立し、配偶者の居住権保護などに関する相続法改正も今年7月に成立しました。
現在は、空地空家の増加の背景になっている所有者不明土地の問題を解消して不動産利用を促進するため、所有権や登記制度のあり方をめぐる物権法改正が検討されています。
政府において法改正の必要性を強く認識している案件であるためか、より急ピッチでの検討がなされています。関連する周辺の法令として、すでに今年6月に公共事業等における土地利用を念頭に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が成立しました。

現在、所有権や登記制度をめぐる民法改正は「登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会」を中心に議論されており、一般社団法人金融財政事情研究会のウェブサイトで資料を参照することができます。
この研究会での検討が法制審議会に引き継がれていくものとみられます。

今年6月1日に研究会の「中間取りまとめ」が公表されました。多くの方に関係してくる相続登記に関する論点をみてみます。
所有者不明土地が生じる主たる原因の1つは、相続が生じても登記手続がされないままになっているケースが多いことにあります。この点の解消に向けた検討事項として「中間取りまとめ」では、(1)対抗要件主義の検証、(2)相続登記等の義務化などの検討をあげています。

(1)は、現在の不動産登記は第三者に権利主張するための対抗要件にとどまり、権利移転の効力要件ではないとされているところ、これを権利移転の効力要件と改めることで相続登記が促進されないか?という観点での検討とのことです。
研究会での議論においては、効力要件主義を採用したからといって相続登記が促進されるとは限らないといった指摘や、現行の対抗要件主義を前提に構築されてきた各種の制度にどのような影響が生じるかを検討する必要があるといった指摘がなされており、今後さらに議論がなされることとなっています。

(2)については、相続登記の義務化のほかに登記官が職権で相続登記する制度を導入してはどうかといったことが議論されていますが、「中間取りまとめ」ではこれらについても実効性の有無を含めて今後さらに検討していくべきこととされています。

「中間取りまとめ」では具体的な改正内容にまで踏みこんだ言及がされていない項目もあり、今後の議論をみていく必要がありますが、相続の場面が主な問題となっていることを考えると影響を受ける人が多い改正であるということは間違いありません。
相続法改正も含めて、重要論点については今回とは別の機会に紹介したいと思います。