弁護士の調査能力

 高橋 英伸

2018年05月15日

<ポイント>
◆弁護士には私人として高い調査能力がある
◆弁護士会による照会事項には限定がない
◆裁判所を通じた照会はより実効性がある

弁護士は依頼者から様々な調査の依頼を受けます。受任した事件に付随して調査をする場合のほか、調査の依頼のみ受忍する場合もあります。

弁護士が法令に基づき職務上入手できる書類としては、例えば住民票、戸籍謄本があります。相手方の住所や家族関係(配偶者の有無、相続等)を調べて、事件、事務処理のため情報を利用します。これらの入手は税理士等も可能ですが、弁護士の場合はあらゆる事件、事務に関して入手可能であることが利点です。ただし、事件等と関係のない単なる興味本位の入手は許されません。

他には会社や不動産の登記簿等の入手があります。これらの入手は誰でもできます。しかし、事件、事務の処理上それらが必要か否かは弁護士等の資格者でなければ必ずしも判断できないでしょう。

弁護士の調査能力として特筆すべきは弁護士法に基づく所属弁護士会による照会制度です(弁護士法第23条の2第2項:弁護士会は・・・公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。)。
この制度により官庁、会社や個人に対して照会できる事項には限定がなく、照会を受けた者には回答義務があります。個人情報についても、弁護士会からの照会に対して業者が個人情報を含む回答をすることは適法です。

この制度によって得られる情報は、公の持つ情報(建築確認の内容、貸金業登録の内容、救急活動・110番通報の記録、死亡診断書の記載内容、刑事記録の一部、気象、労災事故の内容など)、私人の持つ情報(携帯電話の契約者情報、大学の学費、損害保険契約の有無、連帯保証人の有無、先物取引の内容、ゴルフ会員権の名義など)のいずれについても極めて多岐に渡ります。
ただし、個人の犯罪歴や税金関係の照会など回答拒否が多い事項は少なくありません。警察が令状に基づいて強制捜査を行うような場合と比べれば、弁護士の調査能力には自ずと限界があります。

他方、訴訟などの裁判手続を行う場合、代理人弁護士の申立てにより、裁判所から官庁等に対して調査や文書の送付の嘱託をしてもらうことができます。
裁判所の嘱託に対しても回答・送付が拒否される場合はありますが、その実効性は弁護士会の照会の比ではありません。裁判所を通じた調査ができることも、間接的な弁護士の調査能力といえるかもしれません。

弁護士には私人としては秀でた調査能力がありますので、何か情報を得たい時にはひとまず弁護士に相談してみることも選択肢の一つではないでしょうか。