地上げは弁護士法違反

 片井 輝夫

2008年03月15日

3月4日、東証2部上場会社からその所有するビルの立ち退き交渉を委託された大阪の不動産会社社長らが、弁護士法に違反したとして逮捕されました。同社長は、大阪市内を中心に活動する地上げ屋6名を使って、立ち退き交渉をしていたそうです。
不動産業者などがビルオーナーから依頼を受けて立ち退き交渉を業として受任する行為自体が犯罪行為に問われるというのは、ちょっと意外な感じを持たれた方もおられると思いますが、弁護士法は、法律で特別の定めがない限り、弁護士資格がない者が、報酬目的で訴訟事件その他の法律事件に関して代理したり、法律事務を取り扱ったりすることを業(非弁活動といいます)としてはならないと定めています。
これに違反すると2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。

強引なやり方でないのであれば、立ち退き交渉をする程度のことは弁護士資格がなくてもいいのではないかと思われるかもしれませんが、札幌高裁の判決(昭和46年11月30日)は、(弁護士法にいう)「法律事件」とは、「権利義務に関し争いがあり、もしくは権利義務に関し疑義があり、または新たな権利義務関係を発生させる案件」をいうと判示しています。
立ち退き交渉とは、賃貸借関係を終了させて明渡義務を発生させる案件の交渉ということになりますから、法律事件にあたります。

弁護士法は、弁護士以外の者を法律紛争に関与することを許すと、示談屋、整理屋、地上げ屋など言われる人達が、紛争に介入してきて、脅迫的な手段を使ったり、正確でない法的知識を押しつけて誤った解決を強要したり、法外な報酬を取られたりすることを許してしまうことから非弁活動を禁止しているのです。
このように、弁護士法は、公正な法支配の実現のために非弁活動を禁止しているものであって、弁護士が法律業務を独占しようという目的で設けられた規定ではないのです。