国籍法改正へ

 片井 輝夫

2008年11月01日

政府は、6月の最高裁大法廷による国籍法違憲判決を受けて、国籍法の改正案を国会に上程するようです。
国籍の取得要件は、国によって制度を異にしています。主に血統主義と生地主義にわかれます。血統主義は、父または母が自国民であれば、その子に国籍を与えるという主義で、日本のほか、フランス、ドイツ、イタリア、中国、韓国などの国が採用しています。生地主義は、父母の国籍にかかわらず、その子が自国の領土内で出生すれば、国籍を与えるという主義で、アメリカ、カナダ、ブラジル、オーストラリアなどが採用しています。前者は、歴史の古い国に多く、後者は移民によって築かれた新しい国に多いということができます。

ところで、我が国の国籍法では、出生のとき父または母が日本人のときは、その子は日本国籍を取得します(国籍法第2条1号)。出生のときに父が日本人であるというためには、父と母が婚姻しているか、結婚していないのであれば父が胎児認知することが必要とされています。胎児認知というのは極めて稀ですので、通常は、日本人の父と外国人の母とが正式に結婚していない場合は、その間の子は母の帰属する国の国籍になります。出生後に、日本人の父がその子を自分の子として認知すれば、その子は日本人を父とする子になるわけですから当然に日本国籍を取得できそうですが、現行の国籍法では、このような場合は、その子が日本国籍を取得するために、父が、その母と婚姻するという要件を必要としています。つまり、日本人の父と外国人母との間で生まれた非嫡出の子は、父からの認知と父母の婚姻によって嫡出子にならない限り、日本国籍を取得できないということです。

そして、父母の婚姻を国籍取得の要件とすることが、法の下の平等に違反するとして、裁判になりました。最高裁大法廷は、このような場合に、父母の結婚を日本国籍の取得要件としたのは、少なくとも2003年以降は合理的な区別とはいえないと判決しました。つまり、日本人の父からの認知があれば、父母が婚姻しなくとも子は日本国籍を取得できることになったのです。非嫡出子には日本国籍を与えないかのように印象を与える制度は、もはや合理的とは言えない時代なのでしょう。

この判決を受けて、政府は、国籍法から父母の婚姻という要件を外す改正案を今国会に上程するそうです。この動きは、非嫡出子の法定相続分が嫡出子の半分とされている現行民法の改正にも微妙な影響を与えそうです。