取締役会評価について

 池田 佳史

2017年02月01日

<ポイント>
◆取締役会評価の実施率は約50%
◆取締役会評価自体は従来から行われてきたのではないか
◆評価結果の開示は自社の工夫等を記載すればよい

2015年6月からコーポレートガバナンスコードが実施されており、全部の項目について「実施(コンプライ)」している会社は少なくありませんが、取締役会評価については2016年7月時点で「実施(コンプライ)」率は55.04%にとどまっています。これはすべての項目の中で二番目に低い実施率です。
取締役会評価については補充原則4-11③で「取締役会は、毎年、各取締役の自己評価なども参考にしつつ、取締役会全体の実効性について分析・評価を行い、その結果の概要を開示すべきである」と定めています。
実施率が低い理由としては、これまで日本では取締役会を評価するという概念は広く認識されておらず、何をどの程度行うかについて戸惑っていることが指摘されています。
本稿では、取締役会評価に費用をかけにくい比較的小規模な上場会社を念頭において基本的な知識、考え方をまとめてみたいと思います。

上場会社は、取締役会評価を含めてコーポレートガバナンスコードへの対応状況(実施するか、実施しない場合にはその理由)をガバナンス報告書に記載し、その内容に変更が生じた場合には遅滞なく変更後の報告書を証券取引所に提出しならないことが有価証券上場規定等で定められています。
取締役会評価については、誰が評価するか、どういう内容・項目を評価するか、どういう手順で評価するかなどが考えられるとことだと思います。
評価者については、第三者機関に依頼することも考えられますが、多くの会社では費用対効果の面からも積極的に考える必要はなく、一般的には取締役会議長(代表取締役が兼ねていることが多いと思いますが、その場合には問題があることを指摘する論者もいます)が考えられます。
評価内容については、取締役会で取り扱う議題の量と内容は適切か、取締役会に提出される資料は質、量の面で適切か、取締役会では各取締役による活発な議論がなされているか、などが一般的にいわれています。
評価手順については、各取締役による質問票の記入、各取締役に対するインタビューなどが一般的なようです。

たとえば、取締役会議長である代表取締役が取締役会で取り扱う議題の量と内容は適切か等について各取締役と面談して取締役会評価を行うとすれば、食事をともった席で非公式に行われる場合を含めて、それは多くの会社でこれまでも行われてきたものだろうと思われます。
従って、上記の事項について日ごろから取締役間でコミュニケーションがとられている会社においては、コーポレートガバナンスコードによる従来と異質な作業をすると考える必要はないともいえます。
もちろん、このようなコミュニケーションが不十分な会社は、今後、上記の事項のような取締役会の実効性の評価についてどのような態勢で臨むのか議論する必要があります。
ただ、いずれの会社も取締役会評価の結果の概要を開示することについては、新しく取り組む必要があります。
会社によっては、事業年度毎にヒアリングの上で評価を実施しているが、評価の開示は今後検討課題と認識している旨をガバナンス報告書に記載しているところもあります。
しかし、この開示についても、評価内容をまとめて、その概要を記載すればいいのであり、他社例も参考にしながら自社の評価結果を作成することはそれほど難しいことではないと思います。
以上のとおり、取締役会評価については、多くの会社では従来から行っている取締役会を効率的に運営するための工夫を時宜に応じて見直し、工夫の内容や見直した結果を端的に表現すればいいと考えています。