剰余金の配当について

 池田 佳史

2017年09月01日

<ポイント>
◆期末配当と中間配当以外にも配当をすることは可能
◆取締役会で配当決議する会社の中には四半期配当をする会社がある
◆特定の日の株主に配当することも基準日の株主に配当することも可能

今回は剰余金の配当について整理をしたいと思います。
株式会社は株主総会の決議により剰余金の配当をすることができます。
この剰余金の配当は、その効力発生日の分配可能額の範囲内という要件を満たす限り、一事業年度中に回数の制限なく行うことができます。
これとは別に定款の定めのある場合には取締役会の決議により一事業年度に1回の中間配当をすることができます。
会社法施行前には一事業年度に1回の利益配当(通常は期末に実施されるので本稿では期末配当とよびます)と1回の中間配当しか認められていなかったのですが、会社法施行により変更されました。
一方で、定款の定めによって(本稿ではこのような定款の定めを「分配特則規定」とよぶことにします)会計監査人設置会社は一定の要件のもとで取締役会の決議によって剰余金の配当をすることができます。
(なお、どのような会社がこれに該当するかは拙稿「取締役会による配当決議」をご参照ください。)
これらから、上記分配特則規定を有する会社は、取締役会の決議によって剰余金の配当の効力発生日の分配可能額の範囲内で、一事業年度中に何度でも剰余金の処分を行うことができます。
このため、株主総会を開かなくとも四半期ごとに配当を行う、いわゆる四半期配当を実施することができます。
実際に有名な上場会社としては本田技研工業株式会社(ホンダ)は年4回の剰余金の配当をしていますが、年三回の取締役会決議による剰余金の配当と年一回の定時株主総会決議による配当を実施しています。

剰余金の配当を受けられる株主については、定款に毎事業年度末日現在の最終の株主名簿に記載された株主(期末配当の場合)、毎事業年度9月末日の最終の株主名簿に記載された株主(中間配当の場合)と記載することが多いと思います。
いわゆる四半期配当の場合には上記期末配当、中間配当に加えて、たとえば6月末、12月末現在の最終の株主名簿に記載された株主と定款に記載することが考えられます。
しかし、定款には特定の日時を記載せずに取締役会で定める基準日の株主に配当をすることも可能です。
たとえば、期末配当は毎事業年度末日現在の最終の株主名簿に記載された株主とし、中間配当は取締役会の定める基準日の株主というような記載も考えられます。
分配特則規定を有して四半期配当を実施する上場会社の中には、毎事業年度末日と9月末日の最終の株主名簿に記載された株主にそれぞれ期末配当と中間配当を行う旨の記載をしています。第1四半期と第3四半期については定款には実施するかどうか、どの時点での株主が対象となるかを記載せずに取締役会で基準日を決定して同日の最終の株主名簿に記載された株主に配当している例もあります。