分譲マンションの建替えを行うには 2

 木ノ島 雄介

2013年04月01日

<ポイント>
◆円滑化法による建替え事業の主体は、建替え組合と個人施行者の2種類
◆円滑化法によれば新築マンションへの権利変換が可能

老朽化したマンションが年々増加し、現在、築30年以上のマンションの数が100万戸を超えているといわれており、建替えの必要性が高まっていると思われます。以前、分譲マンションの建替えを決定する方法について述べましたが(詳細は、当職執筆の法律情報「分譲マンションの建替えを行うには」をご参照下さい。)、今回は、建替えを決定した後の、建替えの進め方について述べます。

建替えを決定した後の建替えの進め方としては、マンション建替え円滑化法によらない任意の建替えと、同法による建替えがあります。

任意の建替えを進める場合は、区分所有者全員で資金を出し合って建設業者にマンションを建て替えてもらう方式も考えられますが、区分所有者全員の合意の下、デベロッパーとの等価交換方式による共同事業が行われることが多いです。
等価交換方式についても、上述した2013年2013年2月1日付け「分譲マンションの建替えを行うには」をご参照下さい。

マンション建替え円滑化法により建替えを進めていく場合は、「マンション建替組合」が行う方式と「個人施行者」が行う方式があります。

「マンション建替え組合」が行う方式とは、建替えに賛成の区分所有者全員と建替えへの参加を希望するデベロッパーが組合員となって、法人格のある「マンション建替組合」を設立し、組合員の多数決の下、建替えを進めていく方式です。
デベロッパーが組合員として参加すると、負担金を払って新築マンションの区分所有権を取得できるというメリットがありますし、建替えを進めようとする区分所有者にとっても、デベロッパーを組合員として参加させることは、そのノウハウや資金を活用できるというメリットがあります。

マンション建替組合は、建替えに賛成しなかった区分所有者に、区分所有権等を売り渡すよう請求できますので、これにより、以後は、建替えに賛成する者だけで建替えを進めていくことができます。その上で「権利変換計画」を定めて総会で議決して知事の認可を得て、旧マンションに対する区分所有権、借家権、抵当権などの権利を、新築マンションに移行させることができます。
なお、権利変換計画を定めるには、新築マンションに旧マンションの借家権や抵当権が移行することについて、旧マンションの借家人や抵当権者の同意が得られるよう、建替えることを決定する前の早い時期から借家人や抵当権者と話を進めていくことも重要です。
借家権については、借家人の同意が得られない場合は、借家人に、賃貸借契約の解約の申し入れをすることになりますが、その際、正当事由が必要となります。
抵当権については、抵当権者の同意が得られなくても、抵当権者に損害を与えないようにするための措置が適切であれば、権利変換計画は、知事の認可が得られます。抵当権者に損害を与えないための措置とは、例えば、旧マンションを取り壊した後で建替え事業が中止となる場合に備えて、マンション建替組合が賠償責任保険に加入することなどが考えられます。

マンション建替え円滑化法により建替えを進めていく場合は、前述したように「マンション建替え組合」が行う方式と「個人施行者」が行う方式がありますが、「個人施行者」が行う方式とは、建替えに賛成の区分所有者全員の同意を得た者(例えばデベロッパー)が建替えを進めていく方式です。マンション建替え組合が行う方式と比べると手続が簡素化されていますので、建替えまでの期間を短縮できるとともに、デベロッパーによる等価交換方式による建替えと、権利変換計画による旧マンションから新築マンションへの区分所有権・借家権・抵当権等の移行を組み合わせることができます。

以上、建替え決議後の建替えの進め方について述べましたが、建て替えるにあたってどの方式を選択するかについては、旧マンションの総戸数、区分所有者間での合意の形成しやすさなどを踏まえ、慎重に判断する必要があると思われます。本稿が参考になれば幸いです。