債権者による破産申立て

 森田 豪

2018年10月15日

<ポイント>
◆破産法上、債権者にも破産申立ての権限がある
◆予納金など手続費用の負担が問題

今年の2月、大規模な消費者被害を生じさせたジャパンライフについて複数の被害者が共同して破産申立てを行いました。
債務者自身が破産を申し立てる「自己破産」に対して、債権者が破産申立てを行うケースは「債権者破産」や「債権者申立てによる破産」といわれます。

債権者の立場で破産申立てができないかということは、弁護士として相談を受けてもその後正式に受任するに至らないことが多い手続きの一つでもあります。
なぜ実行に至らないのかといえば、手続きを申し立てる債権者の負担が大きいことが主な原因です。

特に問題になるのが手続費用であり、代理人弁護士に依頼するための費用(弁護士報酬)のほかに、裁判所に納める「予納金」が必要です。
「予納金」は破産手続きの経費を確保するために最低限必要な費用として裁判所から請求されるお金のことです。
予納金の具体的な金額は事案に応じて裁判官が決めますが、比較的小規模な事案でも150万円、200万円といった金額が必要になることが多いです。
債権者破産では管財人の業務負担も大きくなり、資産の調査や管理の経費もかかるため、自己破産の場合よりも予納金が高額になります。
管財人の回収作業により破産財団に充分な資金が集まった場合には後日予納金が返金されることもありますが、あくまでも「うまくいけば」の話です。
大規模な事案でなくとも予納金と弁護士報酬を合わせると数百万円以上の手続費用がかかります。
事案の解明、あるいはケジメといったことを別にして金銭面だけに着目するかぎりでは、こうした手続費用の負担を上回る経済的なメリットが見込める事案となると、かなり少なくなるでしょう。

しかしその一方で、ジャパンライフの件のように事案の解明と適正な分配のために債権者による破産申立てが必要になるケースがあることも確かです。
ジャパンライフのケースでは予納金は1000万円とされたとのことで、負債総額約2400億円という事案の規模とのバランスからは、予納金がかなり低額に抑えられてはいます。それでもなお被害者側の負担は大きく、各地の弁護団などからの資金提供により予納金を賄ったそうです。