住宅瑕疵担保履行法について

 木ノ島 雄介

2016年11月15日

<ポイント>
◆売主や請負人の資力を強制的に確保して買主等の権利を強化
◆対象となる建物は新築住宅に限られる
◆一般消費者が保護の対象となる

前回、拙稿「住宅品質確保法について」において、住宅瑕疵担保履行法について触れました。
住宅紛争審査会(住宅紛争処理機関として指定された全国の弁護士会)が取り扱える紛争の一つとして、住宅瑕疵担保履行法による瑕疵担保責任保険が付された新築住宅についてのものを挙げています。
そこで今回は、住宅瑕疵担保履行法について掘り下げてみたいと思います。

構造計算書を偽装して耐震強度を偽り、マンションを建設・販売した事件が10年以上前にあったことを、ご記憶の方もいると思います。
構造耐力上主要部分に瑕疵があることになりますので、住宅品質確保法に基づいて、新築マンションの売主は引渡しから10年間の瑕疵担保責任を負うことになりますが、新築住宅がマンションとなると損害賠償額も多額にのぼり、売主に資力があるとはいえません。そうすると、消費者たる買主が売主に瑕疵担保責任を追及できるとしても意味がないのではないかと問題になりました。
このような背景を踏まえ、消費者が事業者の瑕疵担保責任を追及して実際に損害賠償を受けられるよう、事業者にあらかじめ資力確保措置をとらせることにしました。そのための法律が住宅瑕疵担保履行法です(正式名は、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)。

具体的には、住宅瑕疵担保履行法により、建設業法上の建設業の許可を受けた建設業者と、宅地建物取引業の免許を受けた宅建業者は、保証金を供託するか住宅瑕疵担保責任保険に加入するかの資力確保措置をとらなければ、新築住宅の販売・請負ができません。
「新築」とは、建設工事が完了してから1年以内で、かつ、人が居住したことのないものをいいます。この条件を満たさない住宅(中古住宅)が売買されるときは、資力確保措置は義務づけられません。
「住宅」とは、人が居住するための家屋などをいいます。賃貸住宅や投資用マンションも、仮に買主が自ら居住するつもりでなくても人が居住するためのものである以上、「住宅」にあたります。しかし、ホテルや旅館など、人を宿泊させる営業のための施設はこれにあたりません。

また、住宅瑕疵担保履行法による保護の対象となる部位、期間は、前回の「住宅品質確保法について」で述べたとおり、構造耐力上主要部分と雨水侵入防止部分の瑕疵について買主・注文者が引渡しを受けた時から10年間です(厳密には、売買のときは瑕疵が「隠れた」ものでることが必要)。構造耐力上主要部分とは、基礎、土台、柱、壁などで、雨水侵入防止部分とは、屋根、外壁、開口部の戸や枠などです(ほかにもあります。)。
なお、住宅瑕疵担保履行法による資力確保措置は、不動産に関する専門的知識があるとは必ずしもいえない消費者を保護するためのものであるので、不動産に関する専門的知識を有する宅建業者が新築住宅を取得するような場面では、売主に資力確保措置は求められていません。
不動産を購入されるにあたって参考になれば幸いです。