会社役員や監査法人の連帯責任

 森田 豪

2017年06月01日

<ポイント>
◆会社法は取締役、監査役など会社役員のほか監査法人の賠償責任を定めている
◆賠償義務者が複数いる場合は連帯責任となる
◆いわゆる共犯関係になくとも連帯責任を生じうる

オリンパスに関する株主代表訴訟で旧経営陣が約590億円もの賠償を命じられ、東芝に関しては監査法人に対する株主代表訴訟が提起されるといったことがありました。
請求額が巨額になってくると、誰がどの範囲で責任を負うのかということも大事な問題になってきます。
会社法は、「役員等」が任務を怠った場合に会社または第三者に対して損害賠償責任を負うと定めています。「役員等」として取締役、執行役、監査役のほかに会計監査人や会計参与もこうした賠償責任を負います。
賠償責任を負う者が複数いる場合には連帯責任とされます。連帯責任の範囲では各人が全額の賠償責任を負います。ただし、ダスキン株主代表訴訟事件のように、損害額の一部のみ連帯責任とされることもあります。

連帯責任というと共犯者関係を連想するかもしれませんが、意思を通じ合っていなくとも連帯責任が課されることがあります。
たとえば、代表取締役と営業担当取締役が共謀して架空取引を行い、取引相手に損害を負わせたが、社内で架空取引を知っていたのはこの2名のみだったというケースを考えてみます。
共謀者2名が連帯責任を負うのは当然ですが、架空取引を見抜けなかったことや是正措置を講じなかったことが任務懈怠にあたるという場合には、他の取締役や監査役も連帯責任を負います。いわゆる共犯者ではなくとも連帯責任が生じるのです。

また、昨今は会計不祥事に関して監査法人の責任にも注目が集まっていますが、監査法人の任務懈怠により会社または第三者に損害が生じたのであれば監査法人も責任を負います。同じ損害について取締役や監査役も賠償責任を負うのであれば、監査法人との連帯責任になると考えられます。
役員個人よりも支払能力があるからという観点で監査法人が賠償請求のターゲットにされるケースも生じてくるかもしれません。

賠償請求者は、連帯責任の範囲では誰に対して請求してもよく、全員に対して一斉に請求することもできますが、実際に支払いを受ける場面では二重取り、三重取りできるわけではありません。
また、賠償義務者のうち誰か1人が支払ったという場合、賠償義務者間の負担割合に基づいて他の賠償義務者に求償できます。