ホリエモンらは、なぜ実刑なのか?

 片井 輝夫

2007年04月01日

平成19年3月16日、ライブドア堀江前社長に対する証券取引法違反(偽計・風説の流布、有価証券報告書の虚偽記載)の判決があり、同人に対して懲役2年6月の実刑判決が言い渡されました。
この実刑判決については、異論もあるところですが、何故裁判所が実刑という厳しい判決を言い渡したのかを解説しましょう。

起訴された事件は、偽計、風説の流布、有価証券虚偽記載というものです。
有価証券虚偽記載というのは、わかりやすく言うと粉飾です。本当は赤字であるのに黒字に装うために、脱法的に匿名組合を使って、本来利益としてはいけない自己株式売買による利益を計上したこと、関係会社に実態のない売上をたてたことなどがあります。粉飾の規模はこの種の事件としてはそれほど多額ではなく、数十億円程度です。
もうひとつは、偽計・風説の流布です。株を高値で売り抜けるために、匿名組合を使って先に安い価格で企業を買収しておいて、匿名組合にライブドア株を割り当てておいてから、今から買収するとアナウンスして、投資家の買いを誘って株価を上げて売り抜けるという手法です。そして、これをライブドアの利益にしてライブドアが儲かっているかのようにするという手法です。

粉飾というのは、消極的な動機からやむを得ずやってしまうという例がほとんどです。赤字に転落することによって、会社の信用不安を起こしたくないとか、経営責任を追及されたくないとか、会社の破綻を回避したいといった動機です。
しかし、ライブドアの場合は、これとは全く異なります。ライブドアは、企業買収をはやし立てて、証券市場から多額の資金を集め、これを企業買収資金に使ってまた証券市場を煽るという構造の会社だったのです。ライブドアのやっていた事業はマネーゲームそのものであり、マネーゲームを続けるためにライブドアの株価を高く維持する必要があったのです。
このように、ライブドア事件は、儲ける手段として積極的に粉飾を使ったのであり、裁判所は、これを詐欺的で悪質と見たわけです。判決が「堀江前社長は、見せ掛けの成長にこだわり、一般投資者を欺き、その判断を誤らせた責任は重い。実刑をもって臨むのが相当」と述べたのは、このことを意味していると言えます。

ところで、堀江前社長の側近である宮内亮二取締役についても、3月22日に懲役1年8月の実刑判決が言い渡されました。宮内は、早くから自白していること、法廷で堀江と対決するなどして検察に協力したことなどから、一般的には執行猶予とみる向きがほとんどでしたが、犯行態様が悪質であり、かつ首謀者ともいえることから実刑になったものと思われます。