ベンチャー企業が募集株式を発行するときの手続き

 森田 豪

2017年09月15日

<ポイント>
◆会社法が定める手続きを行ったうえで株式発行を行う
◆応用により手続きの簡素化、短縮の余地がある

ベンチャー企業が株式を発行して資金調達する場合、オーソドックスな手順としては次のような手続きによることとなります。ここでは株式の譲渡制限がなされている非上場の取締役会設置会社が第三者割当による株式発行を行う場面を念頭においています。
(株主割当てによる株式発行や公開会社による株式発行などは手続きが異なります)

(1) 発行会社取締役会で株主総会招集を決定する
(2) 発行会社が株主総会決議により募集事項を決定する
(3) 発行会社から投資家に対して募集事項を通知する
(4) 投資家が発行会社に対して株式引受けを申し込む
(5) 発行会社取締役会において株式割当数を決定する
(6) 発行会社から投資家に対して株式割当数を通知する
(7) 投資家による払込み

(1)から(7)は会社法が基本パターンとして想定する順序を示しています。
何事も基本が大事で、まずは会社法がこうした手続きを要求しているというおおよそのイメージをもっておくだけでも全体の段取りがしやすくなります。

そのうえで応用の余地について考えてみます。
上記のままであれば取締役会を2回開催することになります。しかし、たとえば、社外役員の都合も考慮すると取締役会を何度も開催するのは大変だという場合もありうるでしょう。
そうした場合には(1)の取締役会で合わせて(5)についても予め条件付きで決議しておくことで、取締役会を1回で済ませることができます。
同じような発想で工夫すれば(3)と(6)の通知も1回で済ませることができます。
手続面での工夫としては、書面決議を活用する、総数引受契約によるなどいくつか考えられます。

また、募集事項の決定については株主総会決議が必要ですが、大枠の決定までを総会で決めておき、いつ・どれだけの株式を発行するのかの詳細については取締役会に委任してもらうという方策もあります。
この委任決議の有効期間は1年間です。総会で決めた枠の範囲内であれば期間内に複数回の株式発行を行うこともできます。

今回は会社法が直接的に要求する手続きについてコメントをさせていただきましたが、このほか株式発行による資金調達に際しては投資契約や株主間契約といった契約書の作成が必要になります。
弊所ウェブサイトにおいて投資契約の条項や種類株式についての注意点などについて解説していますのでご参照ください。
http://www.eiko.gr.jp/lawcat/1-9/