「共用部分」を掘り下げてみる

 木ノ島 雄介

2017年11月01日

<ポイント>
◆共用部分の持分は原則として専有部分の床面積の割合で決まる
◆共用部分は原則として専有部分と分離して処分できない
◆共用部分の変更の程度により議決要件が異なる

前々回、区分所有マンションにおける専有部分と共用部分について解説しました。今回は共用部分について掘り下げてみたいと思います。
共用部分とは
A.専有部分以外の「建物の部分」
B.専有部分に属しない「建物の附属物」
C.規約により共用部分とされた「附属の建物」
のことです。(拙稿「専有部分と共用部分」を参照)

共用部分は、法律上、原則として区分所有者全員によって共有されますが、各区分所有者(共用部分の各共有者)の持分は、専有部分の床面積の割合により決まります。
民法では各共有者の持分は相等しいものと推定されますが、区分所有マンションでは各区分所有者の有する専有部分の面積や価格に差があることが通常であるので、共用部分に対する持分を相等しいものと推定するのではなく、専有部分の床面積の割合で決めることとしたものです。
そしてその床面積は、壁などの内側線で囲まれた部分の水平投影面積によります。
床面積の測り方としては、壁の内側で測る方法(内側計算)と壁の中心で測る方法(壁芯計算)などがありますが、区分所有法では内側計算によると定められています。
もっとも、規約で、床面積の測り方を壁芯計算とすると定めることもできますし、そもそも共用部分の持分割合を専有部分の床面積の割合によらずにほかの方法で定めることもできます。最もわかりやすいのは規約で各区分所有者の持分割合を具体的に定めることです。

次に、各区分所有者(共用部分の各共有者)は原則としてその有する専有部分と分離して共用部分の持分を所有できないことについて述べたいと思います。例外的に専有部分と分離して共用部分の持分を処分できるのは、区分所有法で定められた場合のみであって、規約で専有部分と分離して処分できると定めることはできません。
区分所有法で定められた例外的場面は、次の二つです。
A.規約によって他の区分所有者または管理者を共用部分の所有者とする場合
B.規約の設定・変更によって共用部分に対する持分割合を変更する場合
このAでは共用部分が特定の区分所有者や管理者によって所有されることになるので、共用部分が原則として区分所有者全員によって共有されることに対する例外的場面でもあります。

最後に、共用部分の変更について述べます。
共用部分の形状または効用を著しく変更するための議決要件は、区分所有者の3/4以上かつ議決権の3/4以上です(ただし区分所有者の数に関する要件については規約で過半数まで減らすことができます。)。共用部分の著しい変更の具体例として、階段室部分を改造したり建物の外壁に新たに外付けしたりしてエレベーターを新たに設置する工事が挙げられます(マンション標準管理規約(単棟型)コメント第47条関係⑤アを参照)。
共用部分の軽微な変更は、管理として扱われますが、そのための議決要件は、規約に別段の定めのない限り区分所有者の過半数かつ議決権の過半数です(集会の普通決議)。軽微な変更の具体例として、建物の基本的構造部分を取り壊すなどの加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事が挙げられます(同上)。

参考になれば幸いです。