執筆者:イスラム建築マニア
2010年11月15日

インドに行くと人間の多さにも圧倒されるが、動物の多さにも驚く。
普通に車の行きかう道を犬や牛が歩いている。駅のホームにも犬がいる。家の屋根の上はサルが駆け巡っている。少し田舎に行くと、バッファローの群れが池で水を飲んでいる。車道を牛の群れが歩いている。
車はみな大きなクラクションを鳴らし、われ先にと隙間に入るから車線なんかまるでない。
この大量の車の隙間を縫いながら、人がうまく横切って歩いている。車と人と自転車の間を犬や牛も歩いている。犬や牛も慣れたもので車が横に来ても当たらないように一歩動く程度でまるで驚く様子もない。むちゃくちゃだけど誰もぶつからない。
日本でこんなんだったらたちまち渋滞して何分も動かなくなりそうだが、インドではこんなにむちゃくちゃなのになぜか流れが停滞することがなく、そこそこのスピードで常に流れている。
よく分からないが効率がいい。恐るべし。

デリーからタージ・マハルのあるアグラに向かう列車の窓から外を見ていると、デリーからまだそんなに離れていないのに線路脇の草地に男たちが列車側を向いて座っている。5メートルくらいの間隔で何十人も座っている。
何をしているのかとよく見ると、みんなしゃがんでお尻を(もちろん前も)を出している。朝の大便中だ。互いに見えていても全く気にならないようだ。
さらによく見ると、周りには既にしたあとのブツがいくつも落ちている。インドは紙を使わないので、紙は捨てられていない。だから草地に肥やしをまいただけとも言える。
インドでは人間も動物なのだ。恐るべし。

ゴミが散乱する空き地にあっち向きやこっち向きに、どこ行きか分からないオンボロのバスが20台くらいとまっている。廃車になって捨てられているのかと思うようなバスだ。
バスまわりには人、人、人。横でいのししがゴミをあさっている。牛が横たわっている。
切符売り場や乗り場の表示などない。しかしここは紛れもなくバススタンドだ。
フロント部分が剥がれて穴があいているバスさえあるが、全部現役だ。
バスの屋根には山積みの荷物。別のバスの屋根は荷物ではなく山積みの人。そして山積みの人を乗せたまま普通に走り出す。恐るべし。

バラナシではガンガー(ガンジス川)で朝から多くの人が沐浴をしている。水は濁りきって川の端にはゴミが溜まっている。
ある者は体を洗い、ある者は水に浸かりながら何か唱えている。ある者は洗濯をしている。
洗剤など使わず、ただ川の水で洗い、川沿いの地べた(普段、人が歩いているところ)に洗ったものを直に置いて干している。洗う前より汚れるようにしか見えない。
現地の人に聞いたが、これできれいになるらしい。砂は乾いてからはらえば問題ないとのこと。恐るべし。

今回こんなインドを一人で放浪してきました。
もともとインドに興味があったわけではありませんが、イスラム建築マニアとしてはタージ・マハルを見ないわけには行かずインドに出かけました。
インドは、汚くて、むちゃくちゃですが、なんとも言えず面白いのです。今回の旅でインドにハマる人の気持ちが分かりました。
インドでは、物やお金が無くても、みんなパワフルに生きていて活気があります。そして、人間と動物が共存していて、何でも受け入れるインドの偉大さを感じます。そこで一緒に暮らしていると不思議なエネルギーをもらえるのです。
そして今回の旅では各地で出会う人に親切にしてもらい、良い旅を送ることができました。
インドに行く前は、自分はインドを好きになることはないだろうと思っていましたが、今では、いつかまた一人で行きそうな気がしています。

※ 今回の旅程 デリー,アグラ,ジャンシー,カジュラホ,バラナシ