執筆者:イスラム建築マニア
2010年05月15日

近頃、電車にお年寄りが乗ってきても、知らんふりで席を譲ろうとしない若者が増えているように思う。
私調べによると、お年寄りに一番席を譲る確率が高いのは、40~50代の女性、続いて30代の女性、男性、一番席譲らないのは10~20代の男性、女性の順であるように思う。
但し、これはあくまでも私の通勤経路と通勤時間における、私の主観的な印象にすぎない。

大阪のおばちゃんは、狭い隙間にお尻をねじこんででも座るように言われるが、実際には真っ先にどうぞ、どうぞと席を立っているのは、40~50代の女性が多い。離れたところから声をかけて手招きする人を見たこともある。傍から見ていると、おばちゃんよりも、そこの若者が代わればいいのにと思うことがよくある。
これは、おそらく40~50代くらいの女性は、お年寄りを見ると自分の親を見るような気持ちになるからではないかと思う。
私の母は腰が悪く杖をついている。母と出かけるときは、とにかく母だけは座らせてあげたいと思う。 ((注)ちなみに私はまだおばちゃんではありません。)
だから、母と同じような人が立っているのを見ると、母が誰にも席を譲ってもらえず、一人でよろよろと立っている姿が浮かび、母に対するのと同じ気持ちで座らせてあげたい気持ちになる。

母と京都に行ったとき、帰りに特急に乗ったが始発の駅ではなかったので混んでいて座れなかった。そんなとき、30歳くらいの女性が母に席を譲ってくれた。京都からの特急だと1本遅らせて座る人も多いはず。その女性もそうしたかもしれないのに。本当にありがたかった。
恩返しに、自分も同じように人に喜んでもらえるよう譲りたいと思う。

情けは人のためならず。
母も誰かに席を譲ってもらえますように・・・。

逆に、空いている席を見つけると真っ先に座ろうとするのは、意外にも20代前半の男性が一番多いように思う。続いて20代前半の女性。一番体力があり、立っていても平気なはずなのに。(あくまでも私調べ)

最近、20代前半と思われる男性の前に老夫婦が乗ってきたことがあった。若い男は老夫婦に気付いているはずなのに全く代わる気配がない。それどころか、つめればもう一人座れそうなのに、両側に隙間をあけてゆったり座っている。次の駅で若い男の隣の人が降りて一人分の席が空いた。おばあさんが、おじいさんに席を勧めて座らせた。その一部始終を座っている若い男は見ている。つめれば、代わらなくてもおばあさんも座れそうなのに、全く知らんふりをしていた。
いつの間にか私も「最近の若いもんは・・・」と思う年になってしまった。
近くで見ていて、せめて席をつめるように若い男にひとこと言ってやりたくなったが、逆恨みされたり、急に刺されたりすると怖いのでやめた。おそらく周りで見ていた人も皆同じ気持ちだったと思うが関わる者はいなかった。

最近の若い人たちは座りたがる。
社会よりも、個性や個人の権利を優先する“ゆとり世代”の若者たち・・・。
一部の人を見て、ひとくくりにしてしまうのは申し訳ないが、ふと思ってしまう。
それに若い者の親はまだ若い。お年寄りを見ても全く他人事なのかもしれない。

でもこういう若者も、年を重ねて、そのうちに自分の親が年老いてきたときには、いたわる心が生まれて、きっと自ら進んで席を譲るようになるのだろう。
そしていつか同じように、次の若い世代に対して「最近の若いもんは・・・」と思う日がくるのだろう。