執筆者:イスラム建築マニア
2002年11月15日

「日本国内はほぼ行き尽くした」と豪語する私が、自然に癒されたいと願う方に是非お薦めしたい場所があります。それは「屋久島」です。
時間のないあなたにたった3日で観光地を網羅し、縄文杉までトレッキングをし、海ガメの産卵まで見てしまう最強のプランを伝授しましょう。

まず、これには時期が大事です。
海がめの産卵は5月下旬から7月下旬。
この間で梅雨にも台風にも当たらなそうな時期を選んで行きましょう。(私の場合は、6月初めに行きましたが、ほぼ3日間とも晴れていました。)
大雑把に記すと以下のようになります。後に効率よく周るポイントを伝授します。

「1日目」  3日目に残した以外の観光地(島の下半分)をすべてまわる。
「2日目」  縄文杉トレッキング&夜はウミガメの産卵観察。
「3日目」  ガジュマル園、屋久杉ランド観光。

1日目は、飛行機で、お昼くらいには屋久島に入ります。
不可欠なのがレンタカー。この島でバスでまわろうなんて考えるのはやめた方がいい。何日あってもまわれません。
この日はとにかく観光地をすべてまわります。
V字谷にダイナミックに落ちる千尋の滝、落差88メートルの大川の滝、海に落下する珍しいトローキの滝、干潮前後だけ姿を現す平内海中温泉、万病に効く尾之間温泉、熱帯ジャングルを楽しめる屋久島フルーツガーデン、水中展望船まんぼう乗船、など。
道路はすいていて、目的地にはあっという間に着くので、十分まわれます。
ただ、地元の人がわかる程度の標識しか出ていないところも多く、大きな標識を期待して運転しているとうっかり見逃すので注意。
トローキの滝は道路のほんの片隅の待避所のようなところにひっそりと入り口があります。
この日絶対行って欲しいのは平内海中温泉。
波打ち際に干潮時にぽっかりと現れるこの温泉は、水着・下着は着用禁止の混浴で、脱衣場もありません。
何とも野性味溢れる開放的な野天風呂です。
でも、案外皆入っています。もちろん私も入りました。
予め入れる時間帯を確認しておきましょう。
入っていると、たまに近くまで観光バスの団体客が見物にくることがありますが、その時は湯に浸かって団体が去るのを待ちましょう。
そして、この日は、翌日の縄文杉トレッキングにそなえて早めに宿に入ります。
宿では屋久島名物の(食べにくいだけの)トビウオ料理が振舞われるでしょう。
宿は宮之浦付近にとると後日の観光にも便利です。

2日目のトレッキングは早朝5時に出発です。
宿では、朝食と昼食を弁当にしてくれます。
トレッキングはガイドを頼んでおいた方がいいです。
大体のコースは歩けば自然と分かりますが、約1か所だけ「えっ、ここから!」という道を見つけなくてはなりません。霧が出ても困ります。
ガイド付ツアーは屋久島観光センター1階で申し込めます。1人15,000円ほどです。
朝、宿でピックアップしてもらい、ワゴン車で荒川登山口まで行って、そこで朝食を食べたら、午前6時半頃いよいよ歩行開始です。
片道11kmのうち最初の8kmはトロッコ道で、これが結構疲れます。
高低差はほとんどないのですが、枕木があるのでつまずかないように下を見なければならないうえ、枕木が歩幅に合いません。
屋久杉といわれるのは樹齢1000年以上のもので、中でもウィルソン株、大王杉、夫婦杉、縄文杉など、樹齢数千年に及ぶものはトロッコ道が終わってからどんどん現れます。
だいたい片道の歩行時間を4時間半くらい(11時過ぎ縄文杉到着・弁当、12時出発、午後4時半登山口に戻る)で見積もっているようですが、さっさと歩けば午後3時くらいには戻ってこられます。
目的地の縄文杉の付近はトレッキングを超えて登山です。
木の根を掴み、足を引っ掛け、体を引き上げるところも少なくありません。
世界遺産の縄文杉(樹齢7200年)はこの大変な道のりを登りきったところにその偉大な姿を現します。
しばし感動し、写真を撮って、お弁当を食べたらひたすらもと来た道を戻ります。

この日は、まだ、夜にウミガメの産卵を見なければなりません。
観光センターでガイド付ウミガメツアー6,500円なんてのがありますが、公民館に申し込んで見に行くと500円で済みます(公民館にもガイドは付きます)。
勝手に浜辺に見に行くことは禁止されています。
宿に戻ってお風呂に入りご飯を食べると、夜の公民館に集合していなか浜に見に行きます。
ウミガメにも性格があるらしく、几帳面なものは生んだあと丁寧に丁寧に砂をかけますが、ずぼらなものはチャッと砂をかけると、もう去ろうとします。
涙を流しながら産卵する姿は感動です。
そのうち、ふ化して外洋を旅した後また戻って来られるのはほんの一部で、あとは大きな魚に食べられてしまうそうです。
思わず元気に育つよう祈ってしまいます。

ここでの見所はもう一つ。満天の星です。
大気が澄んでいると、「宇宙にはこんなに星があったのか」と本当にびっくりします。
この日の体力を心配される方もいるでしょうが、大丈夫。多分もちますよ。
感動の連続で疲れを感じるのを忘れていますよ。

3日目は、志戸子のガジュマル園、屋久杉ランド、屋久杉自然館をまわります。
屋久杉ランドには、30分・50分・80分・150分コースがあり、時間の余裕に合わせて選べます。最後の森林浴を楽しみましょう。
そして、お土産を買って終了です。この日の夕方の飛行機で帰ります。

どうです? 来年あたり行きたくなったのではないですか?
滝と森林浴でたっぷりマイナスイオンを吸い、海辺の温泉で心を開放し、ウミガメや星などの自然の神秘に感動し、屋久シカ、屋久ザルなどの動物と触れ合う3日間です。
癒されたいあなたにピッタリでしょう。
ぜひ、健脚なうちに一度訪れてみてください。屋久島はとても優しい島です。