執筆者:昭和芸能デスク
2012年08月15日

『春はあけぼの…、夏は夜~』とはよくいったもので、夏の夜はなんとなくふわふわした浮かれ気分になります。
カルメンさんのエッセイにもあったようにお祭りなど風情があって、季節感が楽しめるよい時期でもあります。
他にもイベント盛りだくさんの夏はついつい宵っ張りになってしまいがち。
特に今年は五輪の年とあって、夜中から朝方までずっと起きて観戦し、寝不足になった方も多かったことでしょう。
私も毎日繰り広げられる熱戦にすっかり興奮して、テレビの前で大きな声をあげて応援していました。
そんなロンドンオリンピックが閉会し、熱気も収まって少し夜が落ち着いてきました。

落ち着きついでに静かに読書というのもよいですが、昭和芸能デスクとしては、夏のテレビドラマが気になります。
気になるといってもドラマの話自体は、以前ほどのめり込めなくなりました。
これがまた別の意味で気になっているところです。

前回のエッセイに書いたように、テレビ放送の中ではスポーツの生中継ほど熱心に見入ってしまうものはありませんが、テレビ好きにはフィクションのドラマも欠かせません。
しかし、現実に一生懸命頑張っている人の姿を見ると、ドラマの中の出来事には厳しくなり、現実はこんなふうにはいかないな、などとついつい考え冷めた目で見てしまいます。
それでも以前はドラマを今のスポーツ観戦くらい熱く見ていた時期がありました。
毎回ドラマの展開が気になって気になって次の回が待ち遠しく、お目当ての番組がある日は放送時間までに用事を済ませ、始まる直前にはテレビの前にしっかり陣取ってわくわくしながら待っていたものです。
ドラマの放送時間に合わせて生活していたといっても言い過ぎではないくらいでした。
数年前までは友人たちとの会話もドラマの話題ではずんでいました。
必ずといっていいほど『こないだの見た?』と会うたびにドラマの展開や場面、登場人物のセリフや演技など細かいところまで話が及んで盛り上がっていました。

これも大人になったからなのでしょうか。
いつ頃からかそんなふうに友人たちとの会話の中にドラマの話が出てこなくなり、ドラマ上の役柄に共感したり憧れたりすることもめっきりなくなりました。
私も年を取ったということなのか、としみじみします。
昔はもっとドラマにドキドキしていたはずなのに…。

そうはいうものの、ドラマにそれほど感動できなくなっているのは、私だけではないのかもしれません。
最近ドラマの視聴率が伸びないといった話をよく耳にします。私が見る限り、視聴率が悪いといわれるドラマでも、話の展開や役者の演技にさほど問題があるとは思えないことも多々あります。
私だけでなく今の若者を含め全体的に「大人」になったということでしょうか。
これって私が老けたということではなく、社会が成熟したということなのか!…そう思うとドラマへの情熱が薄れてさみしく思っていた私もちょっと安心しました。
でもやっぱりドラマにもわくわくしたい。次こそドラマチックなドラマに出会えることを願うばかりです。